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2022年9月22日(木)

英王室宝石の返還要求

旧植民地の各地で

 【ベルリン=桑野白馬】エリザベス英女王の死去を機に、英王室が所有する装飾品に使用された宝石の返還を求める声が各地から上がっています。

 南アフリカからは、「王冠」や、式典の際に使われる王笏(おうしゃく)に埋め込まれた大型ダイヤモンドの返還要求が相次いでいます。

 「英国が盗んだ全ての金とダイヤモンドの返還を要求すべきだ」(南アフリカのツンゴラ議員)、「われわれの国民の犠牲の上に奪われた鉱物は、英国を利し続けている」(活動家のサベロ氏)―。

 8日の女王死去後、南アフリカメディアは宝石の所有権や、英国が旧植民地に与えた損害の賠償について続々と報じています。

 ダイヤの返還と、南アフリカの美術館への展示を求めるオンライン署名も立ち上がり、17日までに賛同者は約7000人に達しました。

 世界最大級の「アフリカの偉大な星」は530カラットの上質なダイヤで、王笏に装着されています。推定価値は4億ドル(約572億円)以上とされています。317カラットの「アフリカの星」は王冠に使われています。いずれも、ロンドン塔で一般公開されています。

 2つのダイヤは1905年、南アフリカのプレトリアにあるカリナン卿が所有する鉱山で発見された巨大な原石からカットされたもの。南アフリカの先住民から盗まれたとされる説もあります。

 英国王室コレクションを管理するロイヤル・コレクション・トラストは、ダイヤモンドの来歴について、発見から2年後の1907年に、エドワード7世に献上されたとしています。

 インドからも、世界最古のダイヤとされる「コイヌール」の返還要求が出ています。女王の死去に伴い、ツイッター上では「コイヌール」がトレンド(話題の言葉)として浮上。19日の国葬を前に、英国に返還を求める署名運動がインターネット上で始まりました。

 コイヌールはペルシャ語で「光の山」を意味します。争奪戦が繰り広げられ周辺国を経た後、19世紀に英国がインド征服を進める中で、ビクトリア女王に「寄贈」されたとされています。

 英国に渡った後は105カラットにカットされ、王冠の宝石として用いられています。インドの度重なる返還要求に、英国は応じていません。


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