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2022年9月21日(水)

主張

止まらぬ物価高騰

際限のない円安政策をやめよ

 物価の上昇が止まりません。8月の消費者物価は生鮮食品を除く総合指数(2020年=100)が102・5となり、前年同月比2・8%上昇となりました。上昇率は、消費税増税が影響した14年度を除けば30年11カ月ぶりの高さです。

 物価の“川上”にあたる国内企業物価指数(2000年平均=100)は、8月に115・1となりました。価格転嫁が進めば消費者物価を一層押し上げます。転嫁しきれない場合は中小企業の経営を圧迫します。

輸入物価が2倍に迫る

 物価上昇の大きな要因は、ロシアのウクライナ侵略などによる原油価格や原材料費の高騰に加え、深刻になっている円安の影響です。際限のない円安に歯止めをかける政策が必要です。

 国内企業物価指数は、急激な上昇を続けています。木材・木製品が174・6、石油・石炭製品が152・3、鉄鋼が147・7など、燃料と原材料が、2000年平均と比較しておよそ1・5倍にも及んでいます。

 輸入物価指数は178・7となり、2倍に迫る勢いです。国内物価指数よりも激しく上昇しています。分野別では、石油・石炭・天然ガスが337・1、木材・木製品・林産物が202・1、金属・同製品が166・6、飲食料品・食料用農水産物が156・2などとなっています。

 輸入物価高騰の原因の半分は、円安によるものです。約24年ぶりとなる145円台に迫る円安・ドル高水準が、企業物価の上昇に拍車をかけています。最近の急速な円安は、急激なインフレに対応して政策金利を引き上げるアメリカなどと比べて、相対的に利率が低くなっている円を売る動きによってつくられています。

 円安の影響は、トヨタなど大量の輸出や現地生産をする大企業にとっては、海外で得たドルなどの通貨を円に換算したときに、大きなもうけになります。

 逆に、中小企業や小売店などの国内需要に主な販売対象がある企業は、十分な価格転嫁もできず、燃料や原材料の値上がりに直撃されています。

 帝国データバンクが7月に行ったアンケートでは、円安が業績にプラスと答えた企業は4・6%にすぎず、61・7%がマイナスと答えました。同社の集計では円安による輸入コスト上昇が原因となった倒産は22年1~8月の累計で21年を上回る多さです。

 企業物価の上昇が消費者物価をさらに引き上げ、長期的な物価高につながれば、国内需要をしぼませます。異常円安は、日本経済を支える中小企業とそこで働く人たちへの大打撃です。

 黒田東彦日銀総裁は、急速な円安の進行が日本経済にマイナスになることを認めながらも、それをつくりだした「異次元の金融緩和」を変えようとしていません。

アベノミクス失政転換を

 物価が急騰しても賃金はまともに上がっていません。一方、資本金10億円以上の大企業は内部留保を484・3兆円に増やし、過去最高を更新しています。

 消費税の5%への緊急減税などの物価対策を急ぐとともに、値上げラッシュの根っこにある異次元の金融緩和をはじめとするアベノミクスを転換するべきです。


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