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2022年9月20日(火)

主張

国葬と「安倍政治」

国政私物化の免罪許されない

 岸田文雄首相は、安倍晋三元首相が史上最長の在任中に多くの実績を挙げたなどと礼賛し、憲法違反の国葬を強行しようとしています。しかし、安倍政権の8年8カ月は、内政でも外交でも国民の声に逆らう政治の連続であり、「森友・加計・桜を見る会」など国政私物化疑惑は今も徹底的な究明が必要な課題です。国葬は、一連の疑惑にフタをし、安倍政治の美化を国民に押し付けるものです。岸田首相がやるべきことは、安倍氏と統一協会の深刻な癒着関係の調査とともに、国政私物化疑惑の解明です。国葬ではありません。

続発した疑惑の解明必要

 学校法人「森友学園」に国有地を破格の安値で払い下げた疑惑は2017年の国会から大問題になりました。安倍氏の妻・昭恵氏が建設予定の学校の名誉校長だったことを追及された安倍氏は「私や妻が関与していれば首相も国会議員も辞める」と答弁し、それに合わせ財務省の公文書の改ざんや廃棄などが行われました。国民の共有財産である公文書の改ざんは民主主義の根幹を揺るがす重大犯罪です。改ざんを強いられた近畿財務局職員は苦悩の末に自死に追い込まれ、職員の妻は「真実が知りたい」と裁判を起こしましたが、岸田政権は21年に裁判を一方的に打ち切り、批判を浴びています。

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐっては、学園理事長が安倍氏の友人であり、認可過程で「総理のご意向」との発言が官邸側からあったとされる文書の存在も判明し、便宜が図られた疑惑が深まりました。

 政府主催「桜を見る会」は安倍氏が政権に復帰した後の2013年以降、参加者と費用が年々膨張しました。地元・山口県から支援者を大量に招き、税金で飲ませ食わせした事実上の買収が問われただけでなく、前日に都内の高級ホテルで開かれた前夜祭の参加者の一部費用を安倍氏の後援会が補填(ほてん)していたことが発覚しました。

 安倍氏は国会で繰り返し否定しましたが、東京地検特捜部は20年12月、補填があったと認定し政治資金規正法違反で安倍氏の秘書を略式起訴しました。安倍氏の国会での虚偽答弁は118回にのぼり、国会と国民を欺き続けたことに厳しい批判が上がりました。前夜祭ではサントリーホールディングスによる酒類の無料提供疑惑も浮上しています。

 安倍氏は一連の疑惑について説明責任を一切果たしませんでした。「森・加計・桜」だけではありません。安倍氏らがテコ入れした候補者が有罪になった参院広島選挙区の大型買収事件では、自民党本部から提供された巨額の資金が買収の原資になった疑いが取りざたされています。他にも「政治とカネ」疑惑で辞職した閣僚も相次ぎました。安倍政権は歴代自民党政権の中でも、国政私物化・政治モラル崩壊を際立たせた政権と言っても過言ではありません。

民主主義を守るために

 安倍政権下で続発した疑惑の解明は、権力とカネでゆがめる政治を繰り返さないために、不可欠な課題です。それは日本の民主主義を守るためにも重要です。絶対にあいまいにできません。

 安倍氏の国政私物化疑惑を国家として公認することになる国葬は許されません。岸田首相は中止を決断すべきです。


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