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2022年9月19日(月)

米タイヤ最大手 未払い賃金和解

マレーシア工場の労働者に1億6160万円

外国人差別 訴訟判決を受け

 【ハノイ=面川誠】米国のタイヤ製造最大手グッドイヤーは14日、未払い賃金の支払いを求めていたマレーシア工場の労働者184人に、総額で500万リンギ(約1億6160万円)を上回る和解金を支払うことに同意しました。同工場での労働者虐待について、米政府が「強制労働」の疑いで調査に入ったと報じられています。

 184人はミャンマー、インド、ネパールからの出稼ぎ外国人労働者で既に退職した人も含みます。ロイター通信によると、就労期間の長さに応じて、5万リンギ(約162万円)から20万リンギ(約646万円)の和解金が支払われます。

 グッドイヤーは違法な残業をさせたほか、福利厚生費を理由に給与から多額の天引きを行ったり、パスポートを取り上げたりする違法行為を繰り返していました。また、勤務シフトに応じた手当や賞与など、労組に所属するマレーシア人労働者が受けていた待遇が、外国人労働者には与えられませんでした。

 外国人労働者は2019年から3件の訴訟を起こし、裁判所は労働者の訴えを認めて20年に未払い賃金の支払いを命じる判決を出しました。一部の労働者の1カ月の残業時間は、マレーシアの法律が定める上限104時間をはるかに上回る229時間でした。

 グッドイヤーのマレーシア工場で常態化していた労働者虐待の問題で、香港に拠点を置く人権団体リバティ・シェアードが21年6月、米国の税関・国境警備局(CBP)に調査を要請しています。

 CBPが「強制労働」と判断すれば、関税法に基づいて製品の米国への輸入は差し止められます。リバティ・シェアードによれば、CBPは労働者からの聞き取り調査を進めてきました。

 マレーシアの外国人労働者は正規登録者が約200万人。このほかに違法就労者が推計約400万人に達します。生産量が世界第2位のパーム油の原料となるアブラヤシ農園や製造業の工場ラインの大部分は、多くの外国人労働者を低賃金で雇用しています。


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