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2022年9月18日(日)

主張

安保法制強行7年

いよいよ廃止は切実な課題だ

 2015年9月19日、安倍晋三政権(当時)は、違憲の集団的自衛権の行使などを可能にする安保法制=戦争法の成立を強行しました。これは、海外での武力行使に道を開き、日本を「戦争する国」に変える歴史的暴挙でした。それから7年、岸田文雄政権は今、相手国の領土内にあるミサイル発射拠点などを直接攻撃する「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を狙っています。米国が海外で戦争を始めれば、安保法制に基づいて集団的自衛権が発動され、自衛隊が米軍とともに相手国を攻撃する危険がかつてなく高まっています。

存立危機事態で初の訓練

 今年6月下旬から8月上旬まで米ハワイなどで行われた米海軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)に自衛隊が参加しました。岸信夫防衛相(当時)は8月8日の記者会見で、自衛隊が同演習で「存立危機事態」を想定した実動訓練を初めて実施したことを明らかにしました。

 「存立危機事態」は、安保法制に盛り込まれました。日本と密接な関係にある他国が攻撃されることにより、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合と規定されています。事態の認定がされれば、自衛隊は、他国に対する第三国からの攻撃を排除するために武力の行使=集団的自衛権の行使ができます。米国が第三国と戦争を始め、攻撃を受けた場合も、発動対象となります。

 岸氏によると、自衛隊はリムパック期間中の7月下旬から8月上旬までの間、「(日本)政府が存立危機事態の認定を行うという前提で武力の行使を伴うシナリオ訓練」を行ったとしています。具体的な訓練内容は明らかにしなかったものの、リムパックの指揮官を務めた米海軍の司令官は同演習について「台湾(有事)を含めたあらゆる軍事的な対応を向上させるものだ」(「朝日」デジタル、8月8日付)と述べています。

 今回の演習には、海上自衛隊の護衛艦「いずも」や陸上自衛隊の「12式地対艦ミサイル」部隊などが参加しました。陸自の同部隊は、高機動ロケット砲システム「ハイマース」を装備した米陸軍部隊と共同で、退役した米艦船を標的にした実弾射撃訓練を行いました。

 陸自の「12式地対艦ミサイル」と米陸軍のハイマースを使った共同訓練は8月下旬から9月上旬まで奄美大島(鹿児島県)でも実施されました。中国を念頭に置いた訓練であることは明らかです。

 防衛省は、奄美や沖縄など南西諸島への配備を進めている「12式地対艦ミサイル」の射程を中国本土に届く1000キロに伸ばす開発を行っており、量産化も狙っています。リムパックに参加した護衛艦「いずも」もF35B戦闘機を搭載する空母化に着手しています。いずれも「敵基地攻撃」への転用が可能になります。

重大な報復攻撃呼び込む

 岸田政権は、安保法制に基づく集団的自衛権行使の際にも、「敵基地攻撃」ができるという見解を示しています。日本が攻められていないのに、米国と戦争をしている相手国を自衛隊が「敵基地攻撃」すれば、日本が重大な報復を受けることは避けられません。

 安保法制の廃止をはじめ、「敵基地攻撃」能力の保有など大軍拡の企てを阻止することはいよいよ切実な課題です。


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