しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年9月17日(土)

主張

日朝平壌宣言20年

合意を基礎に諸問題の解決を

 2002年9月17日に日本の小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(いずれも当時)が初となる首脳会談を行い、「日朝平壌宣言」に署名してから20年を迎えます。宣言は、日本による過去の植民地支配の清算、北朝鮮の国際的な無法行為の拉致、核・ミサイル開発など両国間の諸懸案を、包括的に解決し国交正常化に進むロードマップです。日本政府は、困難はあっても、宣言とその合意を基礎に、憲法9条を持つ国としての外交戦略を確立し、北朝鮮との交渉、問題解決に力を尽くすべきです。

拉致も核も包括的に

 北朝鮮は首脳会談で、日本人の拉致をおこなったことを初めて認め、謝罪を表明しました。北朝鮮による拉致問題を国会で初めてまとまった形で提起し、政府に「おそらくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚」と認めさせたのは日本共産党の橋本敦参院議員の質問でした(1988年3月)。首脳会談での北朝鮮の言明を受け、日本共産党は厳しく抗議し、全容の解明、犯罪責任者の処罰と被害者への謝罪・補償を求めました。

 被害者5人は帰国しましたが、安否不明者の再調査など、日本にとって納得できる解決が必要です。これも日朝間の諸懸案を交渉のテーブルに全て乗せ、包括的に取り組む中で解決の道が開かれます。その際、日本として戦後処理がすんでいない唯一の国が北朝鮮であることを日本政府は自覚し、歴史的責任を果たす立場で取り組むことは当然です。

 平壌宣言では、朝鮮半島の核問題解決のため国際合意を順守することも確認されましたが、北朝鮮はそれに反し、弾道ミサイルの発射を繰り返し、6回の核実験を強行しました。北朝鮮は、核抑止力だと正当化を図りますが、国連の安保理が何度も厳しい非難と制裁の決議を行うなど、同国の国際的な孤立は逆に強まりました。

 北朝鮮は、平壌宣言はもちろん、朝鮮半島の非核化をめざすとした2018年の南北朝鮮の首脳による板門店宣言と米朝首脳のシンガポール共同声明にも立ち返り、核開発を止めるべきです。

 大事なことは、「関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性」(平壌宣言)です。今年8月に国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書案も、北朝鮮に核開発を放棄する具体的な措置を求めるとともに、「問題を交渉と外交を通じ…平和的かつ包括的に解決」するよう呼びかけました。敵基地攻撃能力の保有など軍事対軍事の危険な悪循環に引き込むやり方は、核・ミサイルだけでなく、拉致問題の解決にもマイナスであり、日本政府は取るべきではありません。

平和な北東アジアめざし

 日本共産党は、ラングーン事件(1983年)など北朝鮮の国際的な無法行為を厳しく批判してきました。それに対し北朝鮮が“日本共産党は敵の側だ”と攻撃・干渉してきたため、北朝鮮の政権党・朝鮮労働党とは40年近く前から関係が断絶しています。同時に、日本共産党は20年前の日朝平壌宣言にもいち早く支持を表明するなど、両国間の問題を平和的な交渉により道理ある形で包括的に解決し、北東アジアを平和と協力の地域に変える力にすることを一貫してめざしてきました。その党として、引き続き力を尽くします。


pageup