しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年9月17日(土)

きょうの潮流

 「帰ってくるよ」。20年前の当日の朝、夫の横田滋さんは、にこにこ顔で喜んでいました。一方、妻の早紀江さんは期待と不安が入り交じった複雑な心境だったといいます▼2002年9月17日。日本の小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記との首脳会談が行われ、日朝平壌宣言が交わされました。北朝鮮は拉致の事実を初めて認め謝罪しましたが、政府が認定した被害者17人のうち、帰国できたのはわずか5人。横田めぐみさんは「死亡」と告げられました▼あまりにも残酷―。積年の思いと悔しさが爆発した拉致被害者家族の会見。朝から一転、涙にくれた滋さんの姿もありました。怒りがこみ上げてきたという早紀江さんは、信じることはできない、これからもたたかっていくとマイクに向かって叫びました▼以来20年、救出活動の先頭に立ってきた二人。滋さんは娘との再会を果たせないまま2年前に亡くなりました。86歳になる早紀江さんも最近、急速に体の衰えを感じているといいます▼一刻も早い帰国を願いながら進まない交渉。再調査をはじめ、問題解決の道筋をつけてほしい。もどかしい思いとともに家族たちは日朝会談の再開を政府に求めつづけています▼先日放映されたNHKクローズアップ現代「日朝首脳会談20年」のなかで、いまの心境を語っていた早紀江さん。がんばって倒れまいと栄養をとり、歩き、懸命に生きている日々。ねがいはただ一つ。ついにめぐみが帰ってきた、待ちに待った日がやってきた―その時を。


pageup