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2022年9月16日(金)

きょうの潮流

 月餅に月見酒。前夜は中秋節で、人びとはお祭り気分のささやかな宴を楽しんでいたといいます。満月をながめながら家族でかこむ笑顔の食卓。それが一日にして奪われようとは▼1932年9月16日。日本軍は、一つの集落まるごと住民を虐殺する事件を起こしました。場所は中国東北地方の撫順(ぶじゅん)市近郊にある平頂山。当時日本の「満州」支配に抵抗する抗日義勇軍が侵略政策の拠点となっていた撫順の炭鉱を襲撃。その報復でした▼記念写真を撮ってやるなどと崖下の空き地に集められた住民たち。子どもや乳飲み子を抱いた女性の姿もありました。とりかこんだ日本兵が機銃掃射をはじめると、あたりは血の海と化し、絶え間のない悲鳴がこだましました▼400世帯3000人に及んだともいわれる犠牲者。銃撃後、一人ひとりを突き刺し死体は焼いて土砂で隠しました。日本軍の蛮行はのちの南京事件や重慶爆撃といった民間人の大量虐殺へとつながっていきます▼侵略戦争の闇に沈められてきた平頂山事件は1996年、奇跡的に生き延びた被害者と日本の弁護団によって謝罪と賠償をもとめ裁判へ。敗訴したものの被害事実を認めさせました▼先日都内で開かれた90周年の記念集会。日本の加害の事実をなきものとする動きが強まるなか、歴史の教訓を改めて受け継ごうと。今年は日中の国交正常化から50年の節目です。撫順の平頂山記念館にはこんな文字が掲げられています。「前事不忘後事之師」(過去を忘れず未来の師としよう)


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