2022年9月15日(木)
法務局、192件違法認定
在日女性への差別ネット投稿
弁護団と会見 “救済の後押しに”
インターネット上の差別的書き込みで人権侵害を受けたとして、川崎市の在日3世の女性が、法務局に書き込み約330件の削除を要請したところ、うち192件が違法と認定されました。事前に、同じ書き込みについて同市に削除要請した際は、市がヘイトスピーチと認定し削除要請をしたのは数件だったといいます。女性は法務局の対応を歓迎し、「自治体による被害救済の後押しになってほしい」と語っています。(安川崇)
![]() (写真)弁護団と会見する崔江以子さん(中央)=8日、川崎市内 |
この女性は市ふれあい館館長の崔江以子(チェ・カンイヂャ)さん。8日に同市内で、弁護団と会見しました。
崔さんらは2020年6月、ヘイトスピーチなどを罰則付きで禁じる「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に基づき、書き込み約330件のリストを提出し削除を要請。市はそのうち数件を、市差別防止対策等審議会に諮問し、同11月、ヘイトスピーチと認定しました。
崔さんを名指しし「日本に寄生してる」などと書いたツイートもありましたが認定されませんでした。
これを承服できなかった崔さん側は同12月、同じリストを法務省の地方機関である横浜地方法務局に提出し人権侵犯被害を申告。今年6月まで数回に分けて、192件が違法と認定されました。ブログや掲示板への書き込みについては削除要請リストの95%、ツイッターについても約6割に上るといいます。
弁護団の師岡康子弁護士は「(法務局は)被害救済のためできる限り多くを認定したいという姿勢が明確だった」「被害者の希望をつないだ」と評価しました。一方、市の対応については「市職員が諮問の件数を絞ったことで、人権侵害の大部分がネット上に放置された」として運用の改善を求めました。
市人権・男女共同参画室の担当者は取材に「被害救済の一方で、表現の自由を侵さないことの要請もあり、慎重に判断した」と回答。「市職員は法律家ではないが、必要な時には顧問弁護士の判断もあおいでいる」とも述べました。
崔さんは会見で「法務局が被害を止めるための運用をしてくれたことは心の支えになった。この対応が、川崎市や他の自治体による被害救済の背中を押すものになると思っている」と語りました。
市の担当者も「同じリストについて(市と国の)対応に差異が出た。結果を精査し、今後の運用に生かしたい」としています。









