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2022年9月15日(木)

きょうの潮流

 「この世の地獄」。長崎への原爆投下直後の1945年8月14日、爆心地を視察した門司鉄道局長に同行した職員がそんな言葉を記録に残しています。線路には黒焦げの死体が散乱。集会所にはあおむけになった数十人の被爆者が息も絶え絶え…。痛ましさに局長は涙したと記しています(『伊能繁次郎の思い出』82年)▼局長は、のちに自民党の衆院議員や参院議員を務めた伊能繁次郎氏。防衛庁長官時代の59年に「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」と答弁。この憲法解釈を覆し、岸田政権は敵基地攻撃能力保有に向けた検討作業を進めています。「専守防衛」を投げ捨て、戦火を呼び込む危険な動きです▼「専守防衛は、国際法の観点から見て必ずしも特殊な原則ではない」。最近ネットに掲載した論文でそう強調したのは元防衛審議官の真部朗氏です▼ウクライナ侵攻に乗じた「専守防衛」見直し論に「そのような時こそ従来の国際法秩序遵守の姿勢を鮮明にし、それを擁護していくべき」「今専守防衛を見直す理由はない」と冷静です▼敵基地攻撃能力保有に対し「予想される防衛関係費の著しい増大」などをあげ、「かかる能力を整備・保有しないで済むのであればその方が望ましい」とも▼年末に最終決定する軍事費は6兆円台半ばに達するとも見込まれています。大軍拡は国土をふたたび地獄にする危険に―。政権の暴走を止めるのは世論です。


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