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2022年9月14日(水)

主張

政府の物価高対策

国民の生活苦打開には程遠い

 岸田文雄政権が物価高騰に対する追加策を決めました。追加と言うものの、新たな施策はなく、国民の生活苦を解決するには程遠い内容です。物価高は今後いっそう深刻化する見通しです。政府がこれ以上、手をこまねいていることは許されません。臨時国会をただちに開いて本格的な対策を決めるべきです。

一番の支援は消費税減税

 対策を決めた「物価・賃金・生活総合対策本部」に内閣府が提出した資料は、低所得者層が食費、光熱費がかさんで消費を削らざるをえなくなっていると述べています。10月以降に値上げされる食料品は約7000品目にのぼり、1年後には家計部門で5%以上の物価上昇も予想されています。

 物価高の原因については円安の影響が7月時点で上昇全体の5割程度を占めているとしています。大企業は円安によって利益を過去最高水準に増やす一方、中小企業は原材料価格の高騰を売り上げに転嫁できず、収益を悪化させていると言います。

 そう分析する一方、岸田政権は、円安をもたらしている「異次元の金融緩和」を見直そうとせず、物価高を放置しています。

 追加策に盛り込んだガソリン補助金の延長や、輸入小麦の政府売り渡し価格の据え置きはすでに実施、決定したことです。

 住民税非課税世帯に1世帯5万円を給付しますが、2021年度補正予算で支給した臨時特別給付金の10万円の半分です。そもそも対象が狭すぎます。住民税を課されていてもコロナ危機で収入が減った人や職を失った非正規雇用の労働者には届きません。

 個人向け給付金は、コロナの影響で収入が減った人、生活に困っている人すべてを対象にする必要があります。日本共産党は一律10万円を給付することを提案しています。

 物価高で実質賃金の低下が続いており、賃上げがこれまでにも増して重要です。最低賃金は22年の改定でも全国加重平均で時給961円しかなく、全労連などが求める一律1500円以上に到底及びません。政府が中小企業の賃上げを抜本的に支援し、最賃の大幅な引き上げを実行することが不可欠です。

 国民すべてを苦しめている物価高に対応するためには消費そのものへの支援策である消費税減税が最も効果的です。世界では96の国・地域でコロナ危機での生活支援として付加価値税(消費税)減税を実施しています。岸田政権はかたくなに拒む姿勢を改めなければなりません。

 岸田政権は4月に年金の支給額を減らしたうえ、10月には75歳以上の医療費に2割の窓口負担を導入しようとしています。2倍の負担増です。物価急騰のさなかに高齢者の負担を増やす、逆行した施策はやめるべきです。

臨時国会の開会ただちに

 追加策の財源は予備費です。3兆円台半ばを支出します。予備費は本来、予見できない予算不足に充てる経費であり、国会に諮らずに政府だけで支出を決められます。巨額の予備費を常態化させることは、国会の議決を経て予算を支出する財政民主主義を踏みにじる行為です。今求められているのは根本的な物価高対策です。臨時国会の開会にはもはや一刻の猶予もなりません。


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