2022年9月13日(火)
きょうの潮流
秋の味覚のひとつ、サンマが出回りはじめています。近年は不漁で高値続きですが、安くておいしい季節の大衆魚として長く日本の食卓に上ってきました▼沖縄の家庭にサンマが定着したのは戦後からだといいます。アメリカの占領統治下で、祖国復帰の願いとともに普及していった「日本の味」。そのサンマへの不当な課税をめぐり、ひとりのおばあが裁判をおこしました▼相手は絶対的な権力者のキャラウェイ高等弁務官。「サンマ裁判」といわれた闘争は、自治や復帰運動、民主主義をもとめる沖縄の人びとを巨大な渦に巻き込んでいきました▼「沖縄は『奪い取られる』という状況のなかで、『人権』への目覚めが激しく生まれてきた」。牧師として県民とともに歩んできた平良修さんは、沖縄にとっての民主主義についてそう語っています(『サンマデモクラシー』)▼「オール沖縄」の玉城デニーさんが沖縄県知事選で勝利しました。岸田政権丸抱えの相手を大差で破っての再選です。辺野古の新基地建設に改めてノーを突きつけ、「県民の思いは1ミリもぶれていない」と。それでも「唯一の解決策」をくり返す政府のいかにごう慢か▼復帰50年の沖縄を取材したとき、基地建設の土砂を運ぶ港の前では抗議活動が続いていました。牛歩で抵抗する女性は「1分でも1秒でも遅らせることが沖縄の未来につながると信じて」。民主主義を抑えつけるものにあらがい続けてきた島の歴史。たたかいをあきらめることは決してありません。








