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2022年9月11日(日)

きょうの潮流

 1939年9月1日ドイツ軍が突然ポーランドに侵攻し、第2次世界大戦がはじまりました。しかし、その1年前、ドイツ総統のヒトラーは嘆いていました。「国民がこんな状態なら、まだ戦争はできない」▼38年の9月に、ヒトラーはチェコスロバキアにズデーテン地方の割譲を要求し、軍事行動に打って出ようとしていました。ところが国民は戦争を望まず、総統官邸前の軍事パレードでヒトラーが姿を見せても歓声ひとつあがりませんでした▼そのころ、ある学校教師がヒトラーのやり方に疑問を抱き、日記にこう記していました。「戦争になりはしないかとひどく心配している」。しかし同じ教師が、1年後のポーランド侵攻ではヒトラーを支持し、「おのおのがドイツ人としての自覚を抱き、ドイツ民族のために立ち上がるべき」だと書いたのです▼国民の意識を1年たらずで変えたのは、徹底したプロパガンダでした。ポーランドのドイツ人虐待、ドイツに対する侵略準備など根拠のない記事が新聞の1面を何度も飾りました。イギリスによる「ドイツ封じ込め」という宣伝も功を奏しました▼イギリスの歴史家が、近著『一九三九年 誰も望まなかった戦争』(白水社)で明らかにした経緯です。今のロシアは、反政府言論に対する徹底した弾圧と合わせ、当時のドイツ国内とうり二つ。ウクライナ国内のロシア人に対する虐待なるニュースも盛んに流されています▼「戦争とは嘘(うそ)の体系である」―。変わることのない歴史の法則です。


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