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2022年9月10日(土)

重大な放送倫理違反

NHK虚偽字幕 BPO意見書

 NHKが昨年12月末に放送したBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で事実と異なる字幕が付けられた問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会(小町谷育子委員長)は9日、「重大な放送倫理違反がある」とする意見書を公表しました。

 番組は、東京五輪の公式映画監督の河瀬直美さんと製作チームに密着取材したもの。五輪開催に批判的な街の声を聞く場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けました。放送後、視聴者から疑問が相次ぎ、NHKが男性に確認したところ、男性が五輪反対デモに参加したとは認められず、字幕の内容は誤りだと分かったといいます。

 記者会見で井桁大介委員は「五輪反対デモに参加したのか確認しないままだった。半ば捏造(ねつぞう)的で単なる過失にとどまらない、重過失だ」と説明しました。

 意見書は、度重なる試写で誤りが見抜けなかった要因として「デモや広い意味での社会運動に対する関心の薄さ」を指摘。コロナ禍の五輪開催が世論を二分している中、「開催に批判的な国民の声にも耳を傾け、番組に反映させることが求められていた」と位置付けます。その上で五輪反対デモをおとしめるような伝え方は「NHK全体の信頼を毀損(きそん)しかねない」として、放送ジャーナリズムの原点に即した対応を求めました。


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