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2022年9月10日(土)

きょうの潮流

 「限りなき憤りと敵撃滅の決意をこめて一億国民深き哀悼のうちに…」。戦前、平民として唯一国葬で送られた軍人、山本五十六の葬儀はラジオで実況中継されました▼延々と続く葬列。葬場には勅使も並び、「まさに武人の誉れ、これに優(すぐ)るものなし」と。盛大な儀式は戦意高揚とともに、銃後の女性や子どもたちにも戦争への協力を徹底するために利用したものでした▼戦前の日本では天皇や皇太后をのぞく20人の国葬が行われました。いずれも国家や天皇に尽くした「功臣」とたたえられ、のちに勅令として定められた「国葬令」には、喪に服すことを国民に強制する条文もありました▼主権は国民にあるとした戦後の憲法のもと、国葬令は当然のように廃止されます。内閣法制局も制度全体が現行憲法の精神に相いれず失効したとの見解を示しています。その後も法的根拠や基準がつくれないのは、法の下の平等、内心や信教の自由という憲法の原則にことごとく国葬が反しているからです▼それを内閣の一存で強行しようとしているのが岸田首相です。まともな説明や理由を示さないどころか、時の政府の勝手な判断でやれるとまで。これでは国家統治に死さえ役立ててきた戦前に逆戻りすることにも▼統一協会と深くかかわり、広告塔となっていた安倍元首相。およそ調査とは呼べない自民党の点検では対象外に。岸田首相は「民主主義を守り抜く決意を示す」ことを国葬の理由としましたが、ほんとうに守りたいのは安倍政治や政権か。


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