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2022年9月9日(金)

きょうの潮流

 どれほど暑く、苦しかったか。車内からは空っぽの水筒が見つかりました。置き去りにされ、いつまでも助けを待っていた幼子。くり返される痛ましい事件に胸が締めつけられます▼静岡・牧之原市の認定こども園に通う3歳の女児が、およそ5時間にわたって通園バスに放置され、重度の熱中症で亡くなりました。発見されたとき、女児は服を脱いだ状態で倒れ、体温は40度まで上がっていたそうです▼園側の説明から見えてきたのは、いくつもの確認を怠っていたこと。車内の点検や降車時の人数、さらに登園時やクラスの担任による出欠も確認していませんでした。命を預かる立場にあるのに、あまりにもずさんです▼昨年の7月にも福岡・中間市の保育園で同様の悲劇が起きています。その後、国から自治体などにむけて安全管理の徹底をもとめる通知が出されましたが、今回それも守られず、通知だけでは現場に徹底されない現状も明らかになりました▼子どもが散歩中に置き去りにされるケースも相次いでいます。東京都内だけでも、昨年度は80件近い置き去り事案があったと報告されています。確認や点検という基本がおざなりになっている背景に保育現場の深刻な人手不足を指摘する声も▼泣き叫び、興奮して過呼吸になった人たちが次つぎと救急車で運ばれ、中断した保護者説明会。いたたまれない気持ちを抑えて参加した被害者の父親も訴えたといいます。あと10日ほどで4歳の誕生日を迎えるはずだった、わが子を思いながら。


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