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2022年9月9日(金)

主張

「国葬」の首相答弁

憲法と相いれない儀式やめよ

 安倍晋三元首相の国葬などをめぐり衆参両院の議院運営委員会で閉会中審査が8日行われました。岸田文雄首相が国葬について国会で説明するのは初めてです。憲法違反の国葬を閣議決定し、巨額の税金を投じることに国民の怒りが渦巻いています。統一協会との深い癒着が次々明らかになる安倍氏を国挙げて賛美することにも反対の声が上がっています。首相は、国葬が憲法と相いれないとの指摘に答えられず、あくまで国葬を実施すると主張しました。国民は全く納得できません。

統一協会との癒着究明を

 岸田首相は安倍氏の国葬を行う理由について、首相在任期間が史上最長だったなど、これまで記者会見で述べたことと同じ内容を繰り返しました。安倍氏だけを特別扱いする合理的な説明はできません。ここから見えてくるのは、首相の政治的思惑や打算です。「法の下の平等」を定めた憲法14条に反することが鮮明になりました。

 首相が、国葬について「国全体」で「敬意と弔意」を表すとしていることは重大です。日本共産党の仁比聡平参院議員は、国民主権の国では「国全体」に国民は当然含まれるとし、国民全体に弔意を求めることは、憲法19条が保障する「内心の自由」の侵害にあたるとただしましたが、明確な答弁はありません。国内外から約6000人もの参列者を予定し大々的に国葬を行うこと自体、日本社会全体に同調を強いるものです。国民に「弔意」を事実上強制することは許されません。

 そもそも安倍政権の8年8カ月を、国民はとても美化できません。とくに政治の焦点になっている統一協会と極めて深刻な癒着関係を持っていたのが安倍氏です。関連団体の集会に祝電やビデオメッセージを送り、活動を評価していただけでなく、国政選挙で統一協会の組織票を安倍氏が差配していたことも報じられています。

 安倍氏に「国全体」で「敬意と弔意」を表すことになる国葬は、統一協会の広告塔となった安倍氏の行為を国として免罪することになります。日本共産党の塩川鉄也衆院議員は、安倍氏の国葬は「統一協会と関係を断つ」としている岸田首相の言葉と矛盾すると指摘し、安倍氏と統一協会の関係の調査を求めました。しかし、首相は調査には「限界がある」と応じようとしません。

 審議の中で、首相は国葬の基準を定めた法律がないことを認めました。その上で、政府が時々の内外情勢に基づいて総合的に判断することがあるべき姿だと、閣議決定による国葬を正当化しました。

 法的根拠のない国葬を、時の政府の判断で強行することは、「法の支配」を「人の支配」に代える暴挙です。民主主義を破壊する国葬は中止すべきです。

臨時国会直ちに召集せよ

 国葬にかかる約16・6億円の概算費用の積算根拠も政府からの踏み込んだ説明はありません。衆参合わせて約3時間の審議ではまだまだ不十分です。自民党が行った所属国会議員と統一協会との関係の点検結果公表が閉会中審査後になったことも不信を招いています。「政権の初心に帰って、丁寧な説明に全力を尽くす」(8月31日、首相の記者会見)というなら、野党が求める臨時国会早期召集に直ちに応じなければなりません。


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