2022年9月8日(木)
ヘイト犯罪「市民が声を」
京都 ウトロ放火事件判決シンポ
在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区で4日、放火事件判決を受けた住民・学者・弁護士らによるシンポジウムがあり、特定の民族への憎悪にもとづくヘイトクライムを司法がどう裁いたかなどについて話し合われました。
昨年8月にウトロ地区の空き家が放火され、住民運動の立て看板と計7棟が焼失した事件です。京都地裁は先月30日の判決で、被告(23)に求刑通り懲役4年を言い渡しました。
被害者弁護団長の豊福誠二弁護士は、判決について、犯行の動機として「在日韓国朝鮮人という特定の出自を持つ人々に対する偏見や嫌悪感」「排外的な世論を喚起」を指摘した点、住民の財産的損害だけでなく精神的苦痛を考慮した点など、刑事訴訟において前進面があると評価。一方で、被告自ら公判などで何度も人種差別目的だと認めたにもかかわらず、判決が「人種差別」の言葉を使わず差別認定しなかった点を厳しく批判しました。
同志社大学教員の板垣竜太氏は、犯行の背景にインターネットでまん延する歴史修正主義や人種差別的攻撃があり、日本社会全体の問題であることを強調。外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士は、何がヘイトクライムかについての公的なガイドラインも規制法もない現状に対し、日本政府が対策に取り組むよう市民が声を上げる重要性を訴えました。








