2022年9月7日(水)
「現役ドラフト」大筋合意
選手待ち望んだ制度 ようやく
選手たちが待ち望んでいた「現役ドラフト」がついに導入されます。出場機会を求める選手がレギュラーをつかむきっかけになり得る制度です。
ドラフト会議で指名されてプロ入りした選手たちはそれぞれに強みがあり、高い能力を持っています。それでも所属チームのレギュラーポジションに空きがない、似たタイプの実績ある選手がいるなどの理由で試合に出られない選手が少なくありません。そのような選手とチームのミスマッチを解消するため、米大リーグの制度を参考に案がつくられました。
これまでも、レギュラーをつかめなかった選手が移籍先で一軍に定着するケースがありました。2016年のオフに巨人から日本ハムにトレードされた大田泰示(おおた・たいし)外野手(現DeNA)は巨人時代の8年間で結果を残せなかったものの、移籍1年目の17年から4年連続で100試合以上に出場し2桁本塁打を放つなど、主軸として活躍しました。
この制度は、労組日本プロ野球選手会の働きかけで実現しました。選手会では18年ごろから議論がはじまり、19年になって、正式に日本野球機構(NPB)に提案。当時の炭谷銀仁朗会長(現楽天)は「1年でも早くやった方がいい。野球選手にとっては1年1年が勝負。その1年で人生が変わる選手もいる」と訴え、導入を求めました。
限られたプロ生活の中でより多くのチャンスが与えられるようにと、選手からの声がNPBを動かしました。12月に実施される見込みの第1回「現役ドラフト」から、主力として活躍する選手が生まれるかもしれません。
19年の提案から大筋合意まで時間がかかった背景に一部球団の反対がありました。しかし、反対理由はいずれも説得力がないもので結局、制度的に大きな変更がなく合意に至っています。いたずらに時間を引き延ばすやり方でなく、迅速な決断ができる野球界になってほしいと感じます。(山崎賢太)








