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2022年9月1日(木)

きょうの潮流

 画面から漂う異様な殺気。血と死と憎しみと、どうしようもない悲しみの混在。被害者の悲鳴やうめき、殺人に手を染めた者たちの激しい息づかいさえ聞こえてくるかのように―▼関東大震災時におきた朝鮮人や中国人、社会主義者らの虐殺。流言飛語がとびかうなか、事件は歴史の闇にほうむられてきました。心ある人たちが地道に掘り起こしてきましたが、1世紀近くたった今も犠牲者の正確な数はわからず、誰も責任をとっていません▼隠された真相を物語る1枚の水彩画。隅田川と思われる川沿いの広場で進行中の凄惨(せいさん)な殺害の場面が実況中継のように描写されています。『関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』を著した新井勝紘さんによると、こうした「虐殺絵」は歴史の貴重な記録として事実を訴えてきたといいます▼最近になって新井さんが入手したという「関東大震災絵巻」。そこには警察や軍隊、自警団が混然一体となって虐殺を行っていたことが記されていました。そして、絵巻の作者がこの絵を通じて“省慮(せいりょ)の念”を促していたことも▼いまも根強い憎悪の意識。「動機は在日韓国朝鮮人に対する偏見や嫌悪感に基づく独善的かつ身勝手なもので、酌むべき点はない」。在日コリアンが住む京都ウトロ地区の放火事件の判決で裁判長はそう指摘しました▼時の国家権力が率先して広めてきた差別や偏見。日本の侵略戦争を正当化し、嫌韓や嫌中をあおってきた元首相を国葬でまつりあげる。どんなに恥ずかしいことか。


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