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2022年8月28日(日)

主張

防衛省概算要求

前代未聞の大軍拡阻止しよう

 自民、公明両党が25日、国防関係の会合をそれぞれ開き、防衛省の2023年度予算(軍事費)の概算要求を了承しました。ロシアのウクライナ侵略に乗じて軍事力の抜本的強化を掲げる岸田文雄政権の方針を踏まえ、総額は過去最大の5兆5947億円に上ります。さらに、具体的な金額を示さない「事項要求」を多数盛り込み、年末の政府の予算編成で最終決定される軍事費は6兆円台半ばになるとも見込まれています。前代未聞の大軍拡要求です。

初の6兆円台の可能性も

 防衛省の「事項要求」はこれまで米軍再編関係経費など数件にとどまってきました。ところが今回の概算要求では100件超が盛り込まれるとされています。

 「事項要求」が多数に及ぶのは、岸田政権が年末に「国家安全保障戦略」などの安保関連3文書の改定を予定し、これを受けて最終的に23年度の軍事費が決まるためです。3文書の改定では、他国のミサイル発射拠点などを直接たたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有が企てられています。

 軍事費が6兆円を突破すれば初めてであることはもちろん、その半ばにまで達すれば22年度の軍事費(5兆4005億円)を1兆円以上も上回ることになります。

 しかも、自民党は軍事費について、11兆円超に相当する対GDP(国内総生産)比2%以上も念頭に、23年度から5年以内に軍事力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指すことを方針にしています。これを許せば未曽有の大軍拡が23年度以降、毎年加速し続け、国民の暮らしに関わる予算が大きな圧迫を受けることは間違いありません。

 今回の概算要求は、金額の規模だけでなく中身も重大です。

 射程の長いミサイルの早期配備に向け量産を狙っています。具体的には、敵の艦艇を攻撃する巡航ミサイル「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロから1000キロ程度に延ばす「能力向上型」の開発です。「敵基地攻撃」ができる対地攻撃用にすることも容易とされます。

 複数のメディアは、政府がこうしたミサイルを1000発規模で保有することを検討していると報じています。「台湾有事も念頭に、南西諸島から九州を中心に配備」し、「北朝鮮や中国沿岸部に届く」(「読売」21日付)とされます。攻撃用のミサイル配備が中国などとの軍事緊張をいっそう高め、戦争となれば沖縄など南西諸島が最前線になることは避けられません。

 その意味で、今たたかわれている沖縄県知事選(9月11日投票)で、「敵基地攻撃能力」保有などの動きを「悲惨な沖縄戦を経験した県民の平和を希求する思いとは相いれない」と批判し、「絶対に沖縄を再び戦場にしてはならない」と訴える玉城デニー知事を勝利させることは極めて重要です。

反対の世論と運動大きく

 概算要求ではこのほか、超音速で飛ぶ「高速滑空弾」の量産や、音速の5倍以上の速さで飛行する「極超音速誘導弾」の研究、攻撃型無人機の整備なども盛り込むとされます。これらも長射程化されれば「敵基地攻撃」が可能です。

 平和を壊し、暮らしを押しつぶす大軍拡を許してはなりません。そのための国民の世論と運動を今こそ大きくすることが必要です。


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