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2022年8月21日(日)

きょうの潮流

 お盆も明け、子どもたちの夏休みも終わりが近づいてきました。すでに休みはとった、まだこれから、という労働者も。夏休みなどない人もいるでしょう▼連休と聞けば喜ぶ人は多いはず。日ごろ長い時間働いている人ほど、束縛から解かれたという気持ちも大きいか。逆に、休みがつづくと何をすればいいのか戸惑う人も▼『人は2000連休を与えられるとどうなるのか?』。人生にゆきづまり仕事を辞め、6年間にわたる休日を経験したブロガーの上田啓太さんがその日々をつづったノンフィクションです。最初は解放感に浸り、これこそが人間のあるべき姿だと感じ入る筆者。しかし、だらだらと過ごすうちに生活リズムは乱れ、将来への不安を感じはじめます▼300日を過ぎたあたりから自身の心と体の問題に向き合うように。1000日が経過し「自分というものを霧のように感じる」。さらに鏡に向かって、おまえは誰だと問いつづけ、はては人間の世界から遠ざかっていく…▼自己への観察や実験で精神的にどんどん追いつめられていったという上田さん。同居人やネコの存在が心の支えになっていたとふり返っています。その後、原稿を書くことで人付き合いも増え、人間関係の世界に戻った感覚があったと▼人間は労働から解き放された時間をどう過ごすのか、自分の存在意義をどこに見いだすのか、彼の体験は問いかけます。働くために生きるのではなく、生きるために働く。自由をおう歌できる社会とは。思いはめぐって。


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