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2022年8月20日(土)

主張

東京五輪汚職

腐敗生んだ構造にメス入れよ

 東京地検特捜部が東京五輪・パラリンピック組織委員会の元理事・高橋治之容疑者を受託収賄容疑で逮捕しました。大会スポンサーだった紳士服大手AOKIホールディングスの前会長・青木拡憲容疑者ら3人も贈賄容疑で逮捕しました。高橋元理事には、スポンサー選定などをめぐってAOKI側に便宜を図った見返りに、多額の資金を受け取った疑いが持たれています。政府が国策と位置付けた東京五輪が汚職の舞台になっていたことは深刻です。東京五輪は招致の際も不透明な金の動きが問題になっており、五輪マネーの闇の徹底解明が必要です。

ブラックボックスただせ

 高橋元理事はAOKI側から東京五輪のスポンサー契約や公式ライセンス商品の契約で有利な取り計らいを受けたいと依頼されました。2017年10月~22年3月まで、高橋元理事が代表のコンサルタント会社に計5100万円が振り込まれたとされます。

 高橋元理事は広告大手「電通」の専務などを11年まで勤めていました。電通時代にスポーツビジネスを手掛け、海外の要人とも人脈をつくっていったとされます。同氏は電通退社後、14年に東京五輪組織委の理事に就任しました。

 電通の関わりも重要な解明点です。五輪組織委には電通の社員が数多く出向していました。公式ライセンス商品の審査などを担当する組織委のマーケティング局は、局長をはじめ電通からの出向者が多くを占めていました。OBとして同社に強い影響力を持つ高橋元理事がAOKI側の依頼を受け、電通側に審査の迅速化などを働きかけていたなどと指摘されています。AOKI側から電通子会社を通じ元理事に渡った2億3千万円をめぐる疑惑も浮上しています。

 五輪史上最高額とされるスポンサー収入をめぐる問題も解明が求められます。スポンサー料はパラリンピックを含めて国内の68社から約3761億円が集まりました。招致段階で見込まれていた約930億円の4倍の規模です。それまで「1業種1社」とされていた原則を崩し、1業種に複数社が参加できる仕組みに変わったことがスポンサー料の大幅増の要因とされます。仕組みの変更を推し進めたのは、高橋元理事と言われます。

 一方、スポンサー選定の過程などの情報は明らかにされていません。組織委は日本オリンピック委員会と東京都が設立した公益財団法人であり、情報公開制度の対象になっていません。組織委は、大会経費に関わる重要文書などを開示しないまま6月に解散しました。このような「ブラックボックス」が不透明な金の流れを隠し、汚職・腐敗をうむ土壌になったことは否定できません。資料を公開し、検証できるようにすべきです。

政府は解明に責任持て

 東京五輪は安倍晋三元首相が政権挙げて招致し、菅義偉前首相がコロナ下での開催に対する国民の異論を押し切り、強行しました。1兆4000億円にのぼる総経費には国民の税金も投じられています。政治主導で推進した五輪をめぐる汚職について「大変残念だ」(遠藤利明・元五輪担当相)などと人ごとで済ませることは無責任です。疑惑をそのままに30年の札幌冬季五輪招致を進めることなど到底許されません。岸田文雄政権の姿勢が問われます。


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