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2022年8月16日(火)

米ロ核戦争「餓死50億人」

気候変化による食料不足を試算

 インドとパキスタンの核戦争が起これば2年後には飢饉(ききん)による死者が25億人に、米国とロシアの核戦争では50億人を超える可能性がある―。米ラトガース大学などの国際研究チームが、核戦争が起こって大気圏に大量のばい煙が拡散した場合に予想される、気温低下や日照不足による世界的な食料不足や飢饉などの影響を分析した結果をまとめました。研究チームは「核戦争を防ぐための国際協力の重要性が浮き彫りになった」としています。

 論文は16日、科学誌『ネイチャー・フード』に掲載されます。

 核兵器の使用は、周辺の放射能汚染だけでなく、大規模火災などで発生するばい煙の大気圏上層への拡散による地球規模の気候変化(核の冬)を10年単位でもたらします。

 研究チームは、六つの核戦争シナリオを想定し、主要な穀物や魚介類の供給量などの食料生産システムへの影響を分析しました。

 15キロトン級(広島型原爆と同程度)の威力の核兵器100発が使われ、500万トンのばい煙が拡散するケースでは、2年後のカロリー供給量(世界平均)は8・2%減少します。

 100キロトン級4400発が使われて、ばい煙が1・5億トン拡散するケースでは、カロリー供給量は81・3%減少。ほとんどの国で2年後に生存する人口は25%未満に。食品廃棄物削減や家畜飼料の転用ではカロリー不足をそれほど補えないことも分かりました。

 農業と海洋漁業によるカロリー減少は地域差があり、北半球の高緯度地域が最も影響を受けるといいます。

 研究チームは、2020年には世界人口を養うのに十分なカロリー供給があっても7億~8億人規模が栄養失調に苦しんだことをあげ、食料分配が、国家間でも国内でも不公平になる可能性が高いと指摘しています。


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