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2022年8月16日(火)

「急性期」縮小の実態も

診療報酬改定 調査で浮き彫り

大病院に集約 中小淘汰狙う

 医療機関が受けとる診療報酬の4月からの改定によって、救急患者や手術に対応する「急性期病院」の体制縮小につながる実態が独立行政法人福祉医療機構(WAM)の調査で分かりました。診療報酬を受け取れるかどうかを決める算定要件の厳格化に伴うもので、大病院への人員・設備の集約化と中小病院の再編・淘汰(とうた)を迫る政府の企みが見えます。

 調査は改定後間もない5~6月に行われ、332病院が回答。入院患者に占める「重症者」数の割合要件などが厳格化されたため、中小病院に多い算定方法で急性期一般入院料を受け取っている115病院のうち、1割が要件を「満たせない」としました。経過措置期間が終わる10月から新要件が適用されるため、重症者数の割合が緩く、看護職員の配置基準もより手薄な入院料に移る予定だと答える病院が出ています。

 厳格化は累次の改定で段階的に進められてきましたが、調査結果では「影響の小さくない改定だと言える」と指摘しています。

 重症者数の割合要件について、心電図モニター管理の項目の廃止が「経営に最も影響がある」と答えたのが124病院で最多。自由記述で「急増する高齢者の急性期対応が困難になる」「特に夏季の熱中症患者受入時は必要」だと危惧する意見が寄せられています。

 今回の改定では「重症患者対応体制強化加算」や「急性期充実体制加算」を新設しましたが、届出病院はそれぞれ17・6%と12・9%にとどまります。人員配置や実績などの要件が厳しく、大病院に有利になっています。

 コロナ禍を受けて新設した「感染対策向上加算」も「感染制御チームの設置」などの要件が厳しく、最も報酬が高い加算1の場合、400床以上の大病院は75%が取得していますが100床未満の病院はゼロ。中小病院を含めた全体は11・4%にすぎません。

 また、深刻な医療従事者不足を解消しないまま、医師作業補助者や看護補助者の体制加算を引き上げましたが、「補助者の確保が困難で配置できない」との回答が相次ぎました。


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