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2022年8月14日(日)

主張

第54回保育合研

子どもの命と平和守るために

 保育の実践と運動を学び交流する第54回全国保育団体合同研究集会(保育合研)が20、21の両日、高知県で開かれます。全国から保育者、保護者、研究者など保育・子育てに関わる人が一堂に集います。1969年に始まった保育合研が四国で開催されるのは初めてです。昨年に続き、オンラインも併用して、全国と結びます。

育ちの保障に知恵と力を

 3年目のコロナ禍の夏、現場は感染対策の努力と一体で、子どもの成長と発達を保障するため知恵を出し、全国の実践に学びながら懸命に保育に取り組んでいます。

 「第7波」は、10代以下の子どもへの感染の広がりが顕著です。政府の対策の立ち遅れによって必要な人に検査などが行き届かず、感染が広がった保育所が各地で次々にうまれました。保育所や学校などで感染した子どもが家庭に持ち込み家族が感染する事態も相次いでいます。

 保護者の就労と生活を支えるために休園を避ける努力をしている保育所も、職員やその家族に感染が広がり、ただでさえ人手不足の現場はぎりぎりの状況です。施設利用者の定期的な検査をはじめとした感染対策とともに、人的体制が確保できる施策など国に責任を果たさせなければなりません。

 政府が行った国際意識調査(2020年)では、日本は「子育てしやすい国と思わない」との回答が61%と、他国の20%前後などと比べ、抜きん出た多さです。

 日本は世界の主要国の中で子ども・子育てのための予算が少なく、その影響で保育分野では子どもの育ちを無視した安上がりの保育施策による規制緩和が次々と行われました。

 保育事故は急増し、保育中に死亡する痛ましいケースもなくなりません。保育の質の低下を招いている根幹にあるのは、保育士配置基準などが低すぎることです。政府は改善・拡充を図るべきです。

 岸田文雄政権は軍事費を5年で倍増させることも念頭にするとしています。23年度の概算要求は5兆5000億円を超え過去最大になると報じられています。一方、23年度に設置する「こども家庭庁」は「こどもまんなか社会」の実現をうたいますが、肝心の予算と人員を増やすことについては具体的な手だてがありません。子どもの命と未来を脅かす大軍拡を優先し、子どもと子育てに冷たい政治の転換が切実に求められます。

 コロナ禍で保護者は、園の行事への参加が制限され、担任や他の保護者、子どもとの交流の機会が少ない状況が続きました。自分の子どもが友だちとどのように園で過ごしているかが見えづらく、本来一緒に子どもの成長を喜び合えるはずの保護者仲間や保育者との関係が築きにくくなっています。孤独や不安を抱える保護者も少なくありません。今年の保育合研のテーマの一つ「みんなで創る保育」が注目されます。

希望の子育てできる社会

 保育合研では、開催県・高知の取り組みとともに、全国各地の実行委員会が力を出し合い、49の分科会が準備されています。

 子どもを真ん中に、よりよい保育・子育てをしたいと願う全国の保育者と保護者が手をとりあい、平和で豊かな社会をめざし、保育・子育ての希望をつくる重要な集会になることが期待されます。


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