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2022年8月14日(日)

きょうの潮流

 オレンジ色のノウゼンカズラの花の周りをアゲハチョウが軽快に飛び回っていました。国内はもとより600種を超える世界のアゲハチョウ類を解説した図鑑があります(『世界のアゲハチョウ図説』)▼普通の解説とはちょっと違う箇所が目を引きました。チャールトンウスバというアフガニスタンからインド、パキスタン、ネパールにかけて分布するチョウの項に、2019年末に凶弾に倒れた中村哲医師についての記述があったからです▼白い羽に赤紋が美しいチョウ。解説には中村医師が惹(ひ)かれた種類と聞くとあり、「農民の自給自足が可能な農村を目指し、資金を集め、井戸を掘り、…農業用水路を作り、数十万人の命を救った」「その彼が蝶(チョウ)好きであったことに衝撃を受けた」と書かれています▼ちょうど上映中のドキュメンタリー「劇場版 荒野に希望の灯をともす」を見ました。中村医師のアフガニスタンとパキスタンでの35年の思索と実践を、遺した文章と映像でたどっています。ハンセン病患者の治療担当から無医地区の巡回診療などの医療活動。そこへ襲った大干ばつ、9・11アメリカ同時多発テロに続くアフガニスタンへの空爆…▼「病気以前の問題だ」と飢えに苦しむ人々を救うため白衣を脱ぎ、井戸を掘り用水路建設に挑戦。水源の河川から水を引き込む堰(せき)を造り、はたして用水路を流れる水は荒野を緑の大地に変えます▼映画で「大事なのは生きることです」と語っています。彼の生き方はこれからも語り継がれるでしょう。


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