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2022年8月14日(日)

徹底追及 統一協会

不安あおり高額印鑑

本紙入手 霊感商法トークマニュアル

 統一協会(世界平和統一家庭連合)が長年にわたり展開し、今も被害が続く霊感商法。本紙は、協会関連会社が2009年頃に印鑑販売で実際に使っていた「トークマニュアル」を入手しました。「先祖の因縁」を強調して客の不安をあおり、印鑑を高額で売りつける手口が書かれています。社長らは同年に逮捕・起訴され、確定判決は印鑑販売と協会の信仰が「混然一体だった」と認定しました。(統一協会取材班)


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(写真)統一協会(世界平和統一家庭連合)関連会社「新世」の「印鑑販売のトークマニュアル」

 統一協会の田中富広会長は10日の都内での会見で「霊感商法なるものを過去においても現在も当法人が行ったことはない」と主張し、霊感商法と協会は無関係との立場を強調しました。

 しかし、09年に霊感商法と協会の活動が一連のものだと裁判で認定されたのが、印鑑販売会社「新世」(東京都渋谷区)の事件でした。同社や複数の協会施設を警視庁が捜索し、特定商取引法違反の罪で社長(懲役2年、罰金300万円、執行猶予4年)らと「新世」(罰金800万円)の有罪が確定しました。同社は社長以下、全社員が統一協会の信者でした。

 本紙が入手したマニュアルはA4判で13枚。目次には「トークの流れ」「手相」「因縁果報の説明」などの文字が並びます。

 同社の販売員は、渋谷区内の路上で通行人に「姓名鑑定をする」などと声をかけ、同社事務所に連れて行ったといいます。

 マニュアルの最初に書かれているのが「心情交流・賛美中心 ゲストに心を開いてもらう」ということ。「今何才ですか?」「大きな転換点に入っています」などと話しかけつつ、「性格、信仰心、財把握、ニードポイントを探る」といいます。

 「財把握」という言葉から、早い段階で客の資産状況を探っていることがうかがえます。

 「ニードポイントをつかむ」の項目にはこんなトーク例が。「今、具体的に気になっている事、解決したい事はなんですか?」。こうして客の心配事を聞き出し、「原因が因縁によって生じている事を印象づける」としています。

 これらのトークの実例が、確定判決で事実認定されています。

 販売員 「先祖の人たちは、たくさんの人を殺してきていますね。その因縁が、あなたの家に降りかかっています。ご主人も、その因縁のせいで、病気を患って亡くなったんですよ」

 販売員 「あなたの家系に男性の早死にが多いのは、先祖の因縁があるからです」

先祖の因縁と脅し 印鑑販売から信者へ

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(写真)統一協会関連会社「新世」が客に高額で購入させていた印鑑

 統一協会系の印鑑販売会社「新世」のマニュアルは、客の不幸や心配事を「先祖の因縁」だと脅した上で、「『どうしたらいいの』という気持ちにさせる」とします。最終的に「印鑑を買い換えることで、運勢を良くすることができます」(確定判決)などと迫り、3本セットの印鑑を40万円や120万円などの高額で売りつけたとされます。

 ただし、同社の活動は印鑑販売の段階で終わったわけではありません。公判で検察は、その他の押収資料の分析や販売員らの供述などから、論告でこう指摘しました。

 「(同社は)印鑑販売によって得た客をフォーラムに参加させた上、教育部や婦人部等でトレーニングし、実践部隊として統一協会の信者にしていき、信者献金をさせることを一連の成長として連続的にとらえていた」

 印鑑販売は「入り口」であり、そこから「相手の信者化を図り、その過程で客の全財産を統一協会とその関係者に拠出させることをシステム化して実践していた」として、裁判所に処罰を求めたのです。

 現在、統一協会は路上で通行人に声をかける手口の印鑑販売を行っていないといいます。しかし、全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士は「『先祖の因縁』で不安をあおり、多額の金銭を繰り返し拠出させる統一協会のシステムは変わっていない」と話しています。


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