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2022年8月7日(日)

平和記念式典

グテレス国連総長のあいさつ

 国連のアントニオ・グテレス事務総長が6日、広島市の平和記念式典で行ったあいさつは次のとおりです。


 今から77年前、何万人もの人々の命が、この地で、瞬く間に奪われました。

 女性たち、子どもたち、そして男性たちは、地獄のような炎に焼かれました。建物は塵(ちり)と化しました。

 生き残った方々は、放射能による後遺症に苦しめられました。

 がんに侵され、さまざまな病気にむしばまれました。

 そして彼らの体には、人類の歴史の中で最も破壊的な攻撃を生き延びた印として、はっきりとした傷が刻まれました。

 被爆者の方々による揺るぎない証言は、核兵器の根本的な愚かさを私たちに気付かせてくれます。

 核兵器は愚かなものです。

 1945年から3四半世紀がたった今、この空に膨れ上がったきのこ雲から私たちは何を学んできたのか、問わなければなりません。

 冷戦時代、紙一重で免れてきた人類絶滅の危機の数々から、あるいは、数十年にわたる兵器削減や、核兵器の使用・拡散・実験に反対する原則が広く受け入れられるようになったことから、私たちは何を学んできたのか考えなければなりません。

 なぜなら、新たな軍拡競争が加速しているからです。

 世界の指導者たちは毎年数千億ドルもの資金を費やして、兵器の備蓄を強化しています。

 世界では約1万3000発の核兵器が保有されています。

 そして深刻な核の脅威が、中東から、朝鮮半島へ、そしてロシアによるウクライナ侵攻へと、世界各地で急速に広がっています。

 核兵器保有国が、核戦争の可能性を認めることは、断じて許容できません。

 人類は、実弾が込められた銃で遊んでいるのです。

 希望の光はあります。

 6月には核兵器禁止条約の締約国が初めて集い、終末兵器のない世界に向けたロードマップを策定しました。

 そしてまさに今、ニューヨークでは、核不拡散条約の第10回再検討会議が開催されています。

 本日、私は、この神聖な場所から、この条約の締約国に対し、私たちの未来を脅かす兵器の備蓄を廃絶するために緊急に努力するよう呼びかけます。

 対話、外交および交渉を強化し、これら破壊兵器の廃絶によって私の軍縮アジェンダを支持するよう呼びかけます。

 核兵器保有国は、核兵器の「先制不使用」を約束しなければなりません。また、非核兵器保有国に対しては核兵器を使用しないこと、あるいは使用すると脅迫しないことを保証するべきです。さらに、核兵器保有国はあらゆる面において透明性を確保しなければなりません。

 私たちは、広島の恐怖を常に心にとどめ、核の脅威に対する唯一の解決策は核兵器を一切持たないことだと認識しなければなりません。

 冷戦の絶頂期、学校に通う子どもたちは机の下に隠れることを学びました。

 しかし、指導者たちは自らの責任から隠れることはできません。

 彼らに対する私のメッセージは非常にシンプルです。

 核という選択肢を取り下げてください。永遠に。

 今こそ、平和を拡散させるべき時です。

 被爆者の方々のメッセージを聞き入れてください。

 「もう二度と、広島の悲劇を引き起こさないでください。もう二度と、長崎の惨禍を繰り返さないでください」

 そして今日ここにいる若い世代の皆さまへ。被爆者の方々が始められた任務を成し遂げてください。

 世界は、この地、広島で起こったことを決して忘れてはなりません。

 犠牲者の皆さまの記憶、そして生き残った方々が残してくださった遺産は決して消滅することはありません。


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