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2022年8月7日(日)

原水爆禁止世界大会

志位委員長の連帯あいさつ

 広島市で開かれている原水爆禁止世界大会で6日、日本共産党の志位和夫委員長が行った連帯あいさつは以下の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=6日、広島市中区

首相演説にあらわれた日本政府の姿勢の問題点

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党の志位和夫です(拍手)。心からの連帯のごあいさつをいたします。

 唯一の戦争被爆国の日本が、「核兵器のない世界」をつくる先頭に立つためには、政治の姿勢を大本から変える必要があるということを、今日は訴えたいと思います。

 NPT(核不拡散条約)再検討会議で岸田文雄首相は演説を行いましたが、岸田首相は、演説のなかで、「核兵器のない世界」をつくるうえで一番大事な二つのことを、二つとも言っていません。一つは、核兵器禁止条約です。もう一つは、NPT第6条です。この二つについて、演説では一切触れていない。ここに日本政府の姿勢の一番の問題がはっきり表れているということを、私は言いたいと思います。

「核抑止論」の呪縛を断ち切って、核兵器禁止条約に参加を

 まず一つ目の核兵器禁止条約ですが、6月に、禁止条約の第1回締約国会議が開かれ、大成功を収めました。この締約国会議には、アメリカの同盟国であるドイツ、ノルウェー、ベルギー、オランダ、オーストラリアもオブザーバーとして参加しました。これは核兵器禁止条約が、核兵器に依存する国も含めて、無視できない世界の現実になっていることを示すものではないでしょうか。

 にもかかわらず岸田首相はこの会議に背を向け、オブザーバー参加すらしなかったばかりではなく、NPT再検討会議の場で、そして今日の広島平和記念式典の場でも、核兵器禁止条約のことを一言も言わない。あたかもこの世に存在しないかのような姿勢をとっているのは、情けないことではないでしょうか。(拍手)

 なぜこうなるのか。「核抑止論」に縛られているからです。「核抑止論」とは何か。第1回締約国会議で採択された「ウィーン宣言」に、はっきりとこう書いてあります。「核抑止論は、核兵器が実際に使用されるという脅威」に基づく議論であり、その誤りはいよいよ明瞭だと。つまり、「核抑止論」とは、いざというときには核兵器を使用することもためらわない――広島、長崎のような非人道的惨禍を引き起こすこともためらわないことを前提にしている議論なのです。

 日本政府は、「核兵器の非人道性」の批判まではします。しかし「核兵器の非人道性」を批判しながら、「核抑止論」を唱えることは根本から矛盾しているのではないでしょうか。「核兵器の非人道性」を、身をもって体験した日本の政府ならば、「核抑止論」の呪縛を断ち切って、核兵器禁止条約の参加を決断すべきだということを、私は強く言いたいと思います。(拍手)

NPTの“命”というべき第6条に全く触れない「空っぽ演説」

 もう一つ、(NPT再検討会議の演説で)岸田首相が一言も触れなかったのはNPT第6条です。

 第6条というのは、核保有国に「核軍備縮小・撤廃のために誠実に交渉を行う」ことを義務付けた大事な条項です。NPTほど不平等な条約はありません。五つの大国が核兵器を独占できる、他の国は持ってはいけない。こんな不平等条約は人類の歴史にないんです。それでも国際社会がこの条約を受け入れたのは、NPTは第6条で、核兵器を持つ国は、核兵器をなくすための交渉をやらなければならないと書いてあるからなんですね。その一番の“命”の部分を、全くスルーしているのが岸田政権です。

 これまでNPT第6条に基づいて、2000年の再検討会議では、核兵器国が、「自国核兵器の完全廃絶の明確な約束」を確認しています。2010年の再検討会議では、「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みを行う」、ここまで確認しています。この確認が核兵器禁止条約につながったんです。第6条はNPTの“命”ともいうべき大事な条項です。

 核兵器禁止条約に触れないうえに、第6条にもまったく触れないわけですから「空っぽ演説」と言うほかありません。(拍手)

NPT再検討会議――本流と逆流との激しいせめぎあい

 昨日、再検討会議に参加している日本共産党の笠井亮議員から、会議の現状の報告がありました。現在、NPT再検討会議は、第6条をめぐって、これまでの大事な合意を後退させ、弱体化しようという流れと、これをしっかり再確認し、具体化・実行して、「核兵器のない世界」へと前進していこうという流れとの激しいせめぎ合いになっているとのことです。世界の多数の国の政府と市民社会は「NPT第6条が大切だ」と主張し、この流れこそが世界の本流であることが明らかになっていますが、核兵器に固執する勢力の抵抗も強い。ですから再検討会議の行方は予断をもっていうことはできません。

 こういう状況であるだけに、日本政府は、「核兵器のない世界」を目指すというのなら、NPT第6条に基づく一連の合意を再確認し、具体化し、実行すべきだということを、アメリカをはじめとする核兵器保有国に迫るべきだと思います。(拍手)

草の根からの運動で、政治のゆがみを正そう

 日本の政治が、この二つの大きな問題点を持っているわけですから、これを変える力はやはり草の根の力です。原水爆禁止世界大会に参加されているみなさんの力です。世論と運動の力で政治のこのゆがみを正そうではありませんか。核兵器禁止条約に参加する政府をつくろうではありませんか。そのためにご一緒に頑張り抜く決意を申しあげ、ごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)


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