しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年8月6日(土)

JAL2労組の争議解決について

 2010年末、日本航空(JAL)が経験豊富な乗員と客室乗務員165人を不当に解雇した争議について、日航乗員組合(JFU)と日航キャビンクルーユニオン(CCU)は7月29日、会社とのあいだで協定書(JFU)と合意書(CCU)にそれぞれ調印し、解決しました。

 国民支援共闘会議の中心を担ってきた全労連は「両労組の12年にわたるたたかいに敬意を表します」とのべるとともに、当事者が納得して「争議終結の判断をされたことを尊重します」(8月1日)と表明しています。

 15年に解雇撤回を求める裁判が最高裁で敗訴するという困難な状況のなかでも、当事者による粘り強いたたかいが続けられ、国民支援共闘会議や「支える会」をはじめとする支援者が物心両面にわたってこのたたかいを支えてきました。また、日本共産党をはじめとする各政党の国会議員が国会質問でとりあげるなど、超党派のとりくみで争議解決に向けた動きがつくられてきました。ILO(国際労働機関)は、労使協議による解決を求める勧告を4回にわたって出していました。

社会的大義のあるたたかい

 JALのたたかいは、「解雇自由の社会を許さない」「空の安全を守る」という社会的大義を掲げたたたかいでした。このたたかいの成果が今回の協定書と合意書に反映されています。

 協定書と合意書は「今後二度と整理解雇の必要性が生じることのないよう、経営の安定化に向けて努力する」と明記。また、「労使関係の安定化が『安全運航の基盤』のひとつである」と明記させました。

 被解雇者全員に対して「職務機会の提供」がなされたことについて、CCUは「要求とは乖離(かいり)はあるものの、被解雇者組合員の『職務提供を受けてみんなで前に進みたい』『これからもJALに貢献できる職務なら喜んで就く』という思いこそを最優先とし」たと表明しています(CCU執行委員会声明、7月16日)。JFUは「直接的な金銭解決ではないものの、『再雇用施策に応募できない方』であっても一定の報酬を得ることができるもの」(JFU声明、7月22日)と表明しています。

 このたたかいのなかで、乗員5人と客室乗務員3人の計8人の職場復帰を実現。調印にあたり、赤坂祐二社長から被解雇者の名誉回復をはかるメッセージが出されました。

闘争を継続する被解雇者も

 たたかいが長期になるもとで、原告のおかれている立場と状況などの違いから要求とたたかい方に違いが生まれてきました。このなかで、乗員原告3人が21年4月に、JAL被解雇者労働組合(JHU)を立ち上げました。JHU(現在は客乗を含めて22人)は、今回の会社提案に対して、「原職への復帰」と「損害を補償する解決金」の実現を求めてたたかうとの声明(7月22日)を発表しています。

 このように、被解雇者のなかでたたかいを継続する人たちが生まれています。全労連は、こうした「仲間のたたかいは継続中です。全労連はすべての争議解決をめざし、引き続き支援していく」(8月1日)と表明しています。


pageup