しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年8月6日(土)

主張

広島被爆77年

惨禍を繰り返さぬ決意新たに

 1945年8月6日にアメリカが広島に原爆を投下してからきょうで77年です。原爆は「この世の地獄」をもたらし、その年の末までに14万人の命を奪いました。被爆者はその後も後遺症とさまざまな差別に苦しめられています。核兵器使用の現実的な危険が高まるいま、この惨禍を決して繰り返させないとの決意を新たにし、「核兵器のない世界」へ前進することが強く求められています。

問われる核大国の責任

 核不拡散条約(NPT)再検討会議が1日から26日までの日程で、ニューヨークの国連本部で始まりました。NPTは核軍備縮小撤廃の交渉を行うこと(第6条)を前提に、米ロ英仏中の核五大国に核保有を認めています。再検討会議はこれまで、「核兵器のない世界」の実現を合意してきました。しかし、核五大国は一致して、条約の義務と合意に背を向け、核戦力の維持と強化を図っています。

 ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領が核兵器の威嚇を行い、北大西洋条約機構(NATO)も、核戦力による対決姿勢を強めています。米中の緊張も新たな高まりを見せており、核兵器をめぐる情勢は、極めて危険な段階にあります。グテレス国連事務総長は「人類は広島と長崎の惨禍の教訓を忘れつつある」と危機感をあらわにしました。核五大国には、この状況を打開する特別の責任があります。

 日本共産党は再検討会議に代表団(団長・笠井亮衆院議員)を派遣し、(1)被爆者の声に真摯(しんし)に耳を傾け、核兵器の非人道性を共通認識として、核兵器の使用も威嚇も断じて許さないメッセージを発する(2)第6条に基づく「核兵器のない世界」をめざす一連の合意を実行する―ことを要請しました。

 会議では冒頭から、非人道的な核兵器の使用をいさめ、条約の義務と合意の履行を求める声が相次いでいます。核五大国は言葉だけでなく、核兵器廃絶に向けて行動しなければなりません。

 緊迫する国際情勢の中で、新たな希望の光となったのが、6月下旬に開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議です。満場一致で採択された「ウィーン宣言」は、「核抑止力」は「核兵器が実際に使用されるという脅威」に基づくものだと強く批判し、「最後の国が条約に参加し…地球上から核兵器が完全に廃絶されるまで、休むことはない」との力強い決意を表明しました。禁止条約は「核兵器のない世界」を実現する上でNPTを補完するものであることも確認しました。再検討会議は、この到達を受け継ぎ、前向きな合意を達成すべきです。

世界への逆行姿勢改めよ

 岸田文雄首相は、日本の首相として初めてNPT再検討会議に参加し、演説しました。しかし、最大の焦点である条約の義務と合意の履行には全く触れず、核兵器禁止条約も無視しました。世界の希望ある流れに逆行する姿勢に、被爆者から失望と批判の声が上がっています。

 原水爆禁止世界大会は3年ぶりの現地開催として4日から広島で始まりました。6日のヒロシマデー集会に続き、9日はナガサキデー集会が行われます。世界大会が、被爆国にふさわしい日本をめざす国民的運動のステップとして成功することが期待されます。


pageup