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2022年8月3日(水)

市民と共に憲法守ろう

参院選受け 九条の会事務局が声明

 日本国憲法を守り発展させようと呼びかける「九条の会」の事務局は7月29日、参院選の結果を受けて、憲法を守り生かす草の根の運動を呼びかける声明を発表しました。

 声明は、参院選で自民、公明、維新、国民の「改憲4党」が議席の3分の2以上を占め、改憲が加速的に進められようとしているとして、「この秋の臨時国会から来年の通常国会にかけて、改憲原案の作成、憲法審査会への提出、議論が進められようとしている」と警告しています。

 一方で、「改憲4党」は改憲項目の中身や目指す方向性で一致しているわけではなく、世論調査でも改憲賛成派と反対派は拮抗(きっこう)しており、「私たちの頑張り次第で国会内での改憲勢力の企てを止めることは可能」だと強調しています。

 声明は、岸田文雄首相がロシアによるウクライナ侵略と中国の脅威を口実に改憲の動きを強めているとして「敵対的な軍事同盟の強化ではなく、対話と協力の包摂的な平和の枠組みの構築の努力」が求められていると主張しています。

 最後に、「憲法9条とそれに基づく日本の社会が最大の危機を迎えている」と訴え、「草の根から市民の共同で憲法を守り、生かす取り組みをすすめることを呼びかけます」と表明しています。

九条の会事務局声明

 「九条の会」事務局が7月29日に発表した声明「第26回参院選の結果について」は以下のとおりです。

 7月10日に行われた参議院選挙は、自民党、日本維新の会が議席を増やし、公明党、国民民主党を合わせた改憲4党の議席が3分の2以上を占めました。一方、市民連合の働きかけに応じた野党共闘は、過去二回の参議院選挙とは異なり限定的なものにとどまり、立憲民主党、共産党はともに議席を減らしました。改憲に向けた動きの加速が懸念されます。

 自民党は、選挙公約で、改憲4項目を提示し、「憲法審査会で改正原案の国会提案、発議を行い、国民投票を実施する」としています。維新の会は、「9条に自衛隊を明記」、「緊急事態条項を創設」との公約を掲げ、自民党に「憲法改正のスケジュールを示せ」と迫りました。国民民主党は「緊急事態条項の創設」を主張し、9条については「議論を進める」と述べ、公明党は「憲法9条1項、2項は今後とも堅持する」としつつ、憲法72条など別の憲法条項に自衛隊の存在を明記する「検討を進める」と、明文改憲に向け踏み込みました。

 岸田文雄首相は、選挙結果を受けて11日、選挙戦終盤の演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の改憲への「思いを受け継ぐ」として、「具体的な内容について3分の2の賛成を結集し、できる限り早く発議に至るとりくみを進める」と述べました。さらに安倍元首相の国葬を強引に閣議決定し、これを最大限に利用しながら、この秋の臨時国会から来年の通常国会にかけて、改憲原案の作成、憲法審査会への提出、議論が進められようとしています。また、「敵基地攻撃」能力の保有と大軍拡、辺野古新基地建設をはじめとする南西諸島での軍備強化のごり押しなどを、強力におしすすめようとしています。

 しかし、4党の間にはめざす改憲条項や改憲への姿勢に隔たりがあり、改憲が一直線に進む状況ではありません。選挙終盤7月4、5日の朝日新聞の世論調査では、改憲賛成36%、反対38%と大きく分かれていました。多くの有権者は改憲を望んでおらず、今回の選挙で改憲の動きが支持されたわけではありません。私たちの頑張り次第で国会内での改憲勢力の企てを止めることは可能であり、これまでもそうしてきました。

 岸田政権は改憲の動きをロシアによるウクライナ侵略と中国の脅威などを口実に推し進めています。しかし、ロシアの蛮行を止めさせるために求められているのは、「戦争反対」「国連憲章守れ」との圧倒的な国際世論の結集であり、「核兵器使うな、なくせ」の世論の拡大であり、敵対的な軍事同盟の強化ではなく、対話と協力の包摂的な平和の枠組みの構築の努力です。東アジアの平和にとってもこの方向の探求が求められています。

 私たちは、憲法施行後75年にわたって憲法を守り抜き、これまでも改憲派が衆参両院で3分の2を占めるもとでも改憲発議を許してきませんでした。九条の会は、憲法9条とそれに基づく日本の社会が最大の危機を迎えている今、対話や署名・宣伝など創意工夫をこらして行動を起こし、草の根から市民の共同で憲法を守り、生かす取り組みをすすめることを呼びかけます。


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