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2022年8月3日(水)

核保有国に厳しい目

NPT再検討会議が開幕

 【ニューヨーク=島田峰隆】第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議が1日、ニューヨークの国連本部で始まりました。核兵器禁止条約が昨年1月に発効してから初めての再検討会議です。初日の一般討論で発言した34の国・地域のうち10以上が禁止条約に言及し、核軍縮への交渉を義務付けたNPT第6条を実践するものとして歓迎しました。

 今回の再検討会議はウクライナ侵略を続けるロシアが核兵器で世界を威嚇し、米国や中国などその他の核保有国も核兵器の近代化や増強を図る緊迫した情勢のもとで開かれています。これらはNPT第6条や過去の再検討会議での全会一致での合意に反する動きです。核兵器禁止条約が始動し、6月の第1回締約国会議が廃絶への具体的な行動を提起した直後でもあり、これまでになく保有国に厳しい目が向けられる再検討会議になっています。

 グテレス国連事務総長は核保有国の動向を挙げながら「人類は今日、たった一つの誤解、判断ミスで絶滅する手前にある」と指摘。▽核兵器の使用に反対する過去77年間の規範を強化、再確認する▽核戦争の危険の削減では不十分であり核兵器の廃絶こそが使われない唯一の保証である―ことなどを訴えました。

 再検討会議のグスタボ・スラウビネン議長(アルゼンチン)は「条約の義務を確実に実施することが不可欠だ」「このことは特に核軍縮の義務に関して重要だということを指摘せざるをえない」とくぎを刺しました。

 一般討論では各国が相次いで、ロシアのウクライナ侵略や核兵器による威嚇を批判しました。

 バングラデシュのモメン外相は、核兵器禁止条約第1回締約国会議が採択した宣言と行動計画に触れ、「禁止条約はNPTを強化するうえで決定的な構成要素として役立つ」と強調。アイルランドのノートン運輸相は「締約国会議の成果は禁止条約がNPT第6条を実践する道筋として価値を持つことを示した」と訴えました。

 各国がNPTの義務や禁止条約に触れて核保有国の責任を追及するなか、岸田首相は演説で第6条にも禁止条約にも触れませんでした。ブリンケン米国務長官は岸田氏の演説を「力強いメッセージ」だったと評価しました。


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