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2022年8月2日(火)

きょうの潮流

 車窓を映しだす四季折々の景色。息をのむ風光明媚(めいび)な世界。福島の会津若松駅と新潟・魚沼市の小出駅を結ぶ只見線は絶景鉄道として知られます▼2011年の新潟・福島豪雨で一部区間が不通となってきましたが、この秋、11年ぶりに全線が開通。そこには、鉄道とともに地域に根づいてきた住民らの粘り強い運動がありました▼豪雪地帯を走る貴重な足となってきた路線。沿線の人びとは命とくらしを支えてきた鉄道を「地域の誇り、宝」として守ってきました。地元は再開に後ろ向きだったJR東日本に働きかけ続け、ついに復旧を実現させました▼只見線は、JR東日本が公表した地方の赤字路線の一つ。せっかく元通りになっても廃線の影がつきまといます。その苦境は各地のローカル線でも。国の会議はあり方についての議論をすすめるとしました▼鉄道の廃線や縮小に歯止めがかからない日本。一方、国民の移動する権利や交通権を保障し、社会基盤として公的に支えているEU諸国などでは鉄道が復権しています。地方と都市部を結びつける交通まちづくり、環境や人にもやさしい公共交通をどうつくるか。そうした考えの中で鉄道が見直されているのです▼地域をつなぎ、人をつないできた「公共財」を市場や民間任せで分断してきた国。「地方創生」をいいながら格差の拡大に拍車をかけてきた政治。分割民営化による不均衡を一向に解消しないJR各社。開業から150年、日本の鉄道は大きな曲がり角にさしかかっています。


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