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2022年7月31日(日)

きょうの潮流

 「活動的な女性は、着ていて快適な衣服を必要としている。袖をまくりあげることもできる衣服を」▼コルセットとひもで締め上げ過剰な装飾を施すファッションに異を唱え、女性の身体に自由を取り戻すべくシンプルで機能的な服を作り出したフランスのデザイナー、ココ・シャネル(1883~1971)。その回顧展が東京・三菱一号館美術館で開催中です▼華やかなブランド名とは裏腹に、シャネルは孤児として修道院で育ちました。そこで習った裁縫の技術を生かし仕立屋に職を見つけ、夜はキャバレーで歌うなど、ごく若い頃から自活し、生涯働き続けました▼今では当たり前となっているシャネルの発明は多岐にわたります。女性のパンツスタイル、伸縮性に富むジャージー素材のドレス、両手を空けるためのショルダーバッグ、ツイード生地の柔らかくて軽いスーツ。黒といえば喪服だった時代に、個性を引き立てる色として日常的に黒を着ることも提案しました▼思えば数十年前、社会人になって買った黒のシャネル風スーツは大切な一着です。白い縁飾りの襟なしジャケットに膝丈スカート。創作は私物化できないと考えていたシャネルは自分のデザインが広く活用されることをむしろ喜び、「スタイルは街の中に、日常の暮らしに溶け込むべきだと思う。革命のように」と語っています▼それはまさに革命でした。腕まくりして机に向かい、伸びをして、街を闊歩(かっぽ)し、思い切り食べ、腹の底から笑う、そんな働く女たちのための。


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