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2022年7月28日(木)

主張

ミャンマーの処刑

民主化圧殺狙う暴挙糾弾する

 選挙で選ばれた政権をクーデターで転覆し権力を奪ったミャンマー軍政当局が元国会議員を含む4人の民主活動家の死刑を執行しました。世界で憤激の声が上がっています。人権団体によると、国軍はすでに武力弾圧で2100人以上の命を奪い、100人以上が死刑判決を受けています。死刑執行はクーデター後、初めてとみられます。執行中止を要求していた東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ暴力停止を求める国際社会への許しがたい挑戦です。

国軍の暴力こそテロ行為

 処刑されたのは著名な民主活動家のチョーミンユ氏、民政与党、国民民主連合(NLD)の元下院議員ピョーゼヤートー氏らです。軍政に抵抗する団体を支援したことが「テロ行為」だとして、非公開の法廷で1月に死刑を言い渡されていました。

 国際社会ではグテレス国連事務総長やASEANが処刑を強く非難し、日米欧など9カ国・機関外相らも共同声明を発表しました。

 2015年以来政権を担ってきたNLDは20年11月の総選挙でも勝利し、21年2月1日、次の政権が発足するはずでした。その当日、国軍はNLD指導者を拘束し全権掌握を宣言しました。国連総会がクーデターを強く非難する決議を採択したのをはじめ、欧米諸国などがミャンマーに対する制裁を行っています。

 ミャンマー国民がNLD政権の原状復帰を求めるのは当然です。軍政に抵抗する人々への国軍の容赦ない暴力こそテロであり、死刑は政治的弾圧にほかなりません。

 ASEAN議長国カンボジアのフン・セン首相は6月、ミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官に書簡を送り、死刑を執行しないよう呼びかけていましたが、無視されました。

 ASEANは、対話を通じた正常化など「5項目コンセンサス」の履行をミャンマーの全当事者に働きかけています。カンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相がASEANの特使として3月と6~7月にミャンマーを訪問しましたが、国軍はいっこうに5項目を実行に移そうとしません。

 30日からはASEAN外相会議が開かれ、ミャンマー問題が取り上げられます。死刑執行はこうしたASEANの努力を踏みにじるものです。

 中国、ロシアを含め一部の国が「内政不干渉」の名のもとにミャンマーへの踏み込んだ対応を避けていることが、国連安全保障理事会決議の採択などの強い対応を妨げ、国軍を増長させています。国際社会の結束には、もはや一刻の猶予も許されません。

日本は軍政に加担やめよ

 日本政府は死刑執行に関して磯崎仁彦官房副長官が記者会見で「深刻な憂慮」を表明し、9カ国・機関外相らの非難声明に加わりました。しかし日本はクーデター後、新規の政府開発援助(ODA)を停止したものの、実施中の案件は続行しています。ODAの資金はミャンマーの国営企業を通じて国軍に利益を与えています。防衛大学校などへの国軍の留学生受け入れも続けています。

 安倍晋三元首相の国葬への招待となる通報をミャンマーに送ったことも批判されなければなりません。国軍の無法を容認し加担する行為は直ちにやめるべきです。


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