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2022年7月26日(火)

主張

「やまゆり園」事件

差別の横行を許さない社会に

 神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件からきょうで6年です。残忍な犯行とともに、殺人罪などで死刑判決を受けた元施設職員が「障害者は不幸をつくることしかできない」と主張したことが大きな衝撃を与えました。全国各地の多くの障害者と家族は、自分たちに殺意が向けられた事件と感じ、不安と恐怖にさらされました。障害者を差別する風潮はいまも根深く存在しています。尊厳と人権がだれにも保障される社会をどうつくっていくのか。問い続けなければならない課題です。

問い続けるべき課題

 事件の刑事裁判は、2020年の横浜地裁判決について元職員・植松聖死刑囚が控訴を取り下げ刑が確定し、終了しました。ただ同死刑囚は今春、再審請求を行ったため、波紋を広げています。

 裁判では、植松死刑囚は全く反省を示しませんでした。判決は、同死刑囚がやまゆり園に勤務する中で、障害者へのゆがんだ差別意識をつのらせていったこと、その前後に「過激な言動で注目を集める海外の政治家(トランプ前米大統領ら)」のニュースをみて刺激を受けたことなどを認定しました。しかし、障害者を大量に殺害する計画にのめり込み、実際に実行に移すに至るまでの突っ込んだ解明はなされませんでした。

 裁判を傍聴した障害者や関係者などは、根本的な原因や本質的な背景が明らかになっていないと指摘します。障害者には生きる価値がないと決めつける考えは、命に優劣をつけ“劣った命”の排除を当然視する「優生思想」そのものです。障害者にかけるお金を「無駄」とみなして、自らの行為を正当化する発想に至ったのも、「生産性」「経済効率性」を優先して、“価値を生まない人”を蔑視する社会の風潮と無縁とはいえません。

 やまゆり園事件のような悲劇を二度と繰り返さないために、このような誤った考えを社会からなくしていく不断の努力を続けることが欠かせません。

 昨年の東京五輪では開会式の企画に携わったミュージシャンが過去のインタビューで障害者虐待を自慢げに語っていたことが発覚し、批判を浴び辞任しました。同氏を起用し、問題が分かって以降も続投に固執した五輪組織委員会の姿勢が厳しく問われました。

 LGBTカップルには「生産性がない」と記した自民党衆院議員の雑誌寄稿が4年前に問題になりましたが、同党は甘い対応に終始しました。いまも性的少数者への差別と偏見を助長する党内の動きは後を絶ちません。

 あらゆる分野で差別的言動を一掃していく上でも、政治の果たす役割がなにより重要です。

安心して暮らせるために

 旧優生保護法(1948~96年)で障害者らに不妊手術を強制したことは違憲・違法とし国に賠償を求める判決が今春、大阪地裁と東京高裁で出されました。判決は、同法を「差別思想に基づくもので正当性を欠く」と批判しました。国は一刻も早く裁判を終わらせ賠償すべきです。同時に被害者救済の一時金支給法の拡充にも踏み切らなければなりません。

 障害がある人もない人も尊重され多様な生き方ができる社会を実現することが急がれます。


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