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2022年7月26日(火)

きょうの潮流

 進化学に「赤の女王仮説」と呼ばれるものがあります。小説『鏡の国のアリス』に出てくる赤の女王のせりふ「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」から転じました▼生物の種や遺伝子が生き残るためには、つねに進化しなければならないという意味で使われます。新型コロナウイルスが変異を起こして環境に適応しようとしていること、それにワクチンなどで対抗しようとする私たち。これは二重の意味で赤の女王仮説に当てはまると、遺伝学者の五條堀(ごじょうぼり)孝さんはいいます▼変異株への置き換わりが進んでいる日本で感染が急拡大しています。先週の新規感染者は前週の1・68倍で、初めて100万人を突破。過去最悪の状況だった第6波のピークの2倍に増えてもおかしくない勢いと専門家もいいます▼発熱外来は各地でパンク状態に。都内では1日100件以上の問い合わせがあり、すでに限界をこえているクリニックも▼緊急事態にもかかわらず、政府の対策はなきに等しい。変異株への警戒はゆるみ、医療や検査体制も強化されないまま。国民の命と健康を守ることを投げ出し、パンデミックを過小評価する動きもあります▼五條堀さんは著書『「新型コロナワクチン」とウイルス変異株』で、新型コロナはまだ進化の途上にあって人間や環境に適応しきっていない、だから変異しないと生き延びられないと説きます。対処するにはウイルスと人の関係を検証し、正確な科学的知見に基づき正しく認識することだと。


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