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2022年7月22日(金)

「反戦デモ」敵視で防衛省

島田官房長(当時)が講演許可

本紙が資料入手

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(写真)湯浅陸幕長(当時)の届出(右)と島田官房長(当時)が決裁、供覧した記録文書

 陸上自衛隊の湯浅悟郎陸上幕僚長(当時)が2019年の講演で反戦デモが「反戦気運などを高めて国家崩壊へ向かわせてしまう」と述べた問題で、防衛省の島田和久官房長(当時)ら6人が事前に講演内容を知りながら許可していたことが21日、本紙が情報公開請求で入手した資料でわかりました。

 島田氏は、第2次安倍晋三政権で6年半にわたり総理秘書官を務めました。20年8月には防衛事務次官に就任。今月、防衛相政策参与と防衛省顧問になりました。軍事費増額などの議論の旗振り役でもあります。

 本紙が入手したのは「部外に対する意見発表の届出」と「決裁・供覧」の文書です。官房長だった島田氏ら計6人が供覧、決裁したと記載されています。19年10月11日に湯浅陸幕長が、陸自元幹部らで組織する偕行社の講演会で「陸上自衛隊の今後の取組」という内容で講演することが記載されています。

 この決裁文書には、講演のスライド資料も添付されています。資料には「報道」「反戦デモ」が「グレーゾーン事態」であることを明記。「グレーゾーン事態」とは、武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要するものとされ、安保法制(戦争法)を発動する対象となる事態を指します。

 湯浅氏の講演では、反戦デモや報道がテロと同列に置かれ、自衛隊の対応対象とされています。

 偕行社の月刊誌『偕行』(19年12月号)によると、湯浅氏は偕行社の講演で、「グレーゾーン事態にどう対応するかを考える。これらは報道戦、テロ行為、扇動による反戦デモなど多様な形態がある。この事態の特徴は、国家が非常事態であると認識する以前に反戦気運などを高めて国家崩壊へ向かわせてしまう危険性があること」と述べたとされています。

 20年1月の別団体の講演資料にも「反戦デモ」を敵視する記載があります。この講演も島田氏が内容を確認した上で、許可を出したとみられます。

 今年4月に日本共産党の穀田恵二議員が衆院外務委員会で追及した際、鬼木誠防衛副大臣は「反戦デモをグレーゾーン事態の一つとして位置づけたことはない」と答弁していました。今回の資料で当時の事務方トップだった島田事務次官が講演内容を確認し許可したことが判明。「デモ敵視」が防衛省そのものの考えである疑いが、さらに深まりました。


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