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2022年7月15日(金)

日本共産党の歴史は、今に生きる力を発揮している

――党創立100周年にあたって

幹部会委員長 志位和夫

 日本共産党の志位和夫委員長が14日の記者会見で発表した「日本共産党の歴史は、今に生きる力を発揮している――党創立100周年にあたって」は次のとおりです。


 日本共産党は、7月15日に、党創立100周年を迎えます。今日、100周年を迎えることができたのは、多くの先達たちの奮闘に支えられたものであり、また、わが党を支持・支援してくださった多くの国民に支えられたものです。私は、そのすべてに対して、心からの感謝を申し上げるものです。

不屈性、自己改革、国民との共同――100年を貫く特質

 日本共産党の100年は、日本国民の利益を擁護し、平和と民主主義、自由と平等、社会進歩をめざして、その障害になるものに対しては、それがどんなに強大な権力であろうと、勇気をもって正面から立ち向かってきた歴史です。

 どんな困難のもとでも、決して国民を裏切らず、社会進歩の大義を貫く不屈性。

 科学的社会主義を土台に、つねに自己改革を進めてきたこと。

 つねに国民との共同で政治を変えるという姿勢を貫いてきたこと。

 これらは、わが党の100年を貫く特質だと考えます。

 それは、ただ過去の歴史の問題にとどまらず、今に生きる力を発揮しています。私は、とくに四つの点をあげたいと思います。

日本国憲法に実った戦前のたたかい――「翼賛政治」の危険のもとで今に生きる力

 第一は、日本国憲法に実った戦前のたたかいです。

 日本の政党のなかで、戦前・戦後を一つの名前で通している政党は日本共産党だけです。それには理由があります。太平洋戦争に向かう時期に、他の党はすべて自らの党を解散して、「大政翼賛会」に合流し、侵略戦争を進める立場にたちました。そのために戦後の再出発のさいに名前を変えざるをえなかったのです。

 この暗い時代に、日本共産党は、文字通り命がけで、国民主権と反戦平和の旗を不屈に掲げてたたかいました。多くの先輩たちが迫害で命を落としましたが、わが党の主張は、戦後の日本国憲法に、「政府の行為」によって戦争をひきおこしたことへの反省と、国民主権が明記されたことによって、実りました。

 戦前のわが党の不屈のたたかいは、いま多くの政党が、ロシアの蛮行に乗じて、「軍事力増強」「憲法9条を変えろ」の大合唱を行うなど、平和と民主主義を壊す「翼賛政治」の新たな危険が生まれているもとで、今に生きる力を発揮していると考えます。

 日本共産党は、100年の歴史に立って、平和と民主主義を壊す逆流と正面からたたかい、これを正面から打ち破り、日本の希望ある前途を開くために全力をあげる決意を表明するものです。

どんな国であれ覇権主義を許さない――この歴史は今日いよいよ重要になっている

 第二は、どんな国であれ覇権主義を許さないたたかいです。

 100年の歴史を通じて、わが党の最大の危機は、戦後、1950年に、旧ソ連のスターリンなどによって、日本共産党に対する乱暴な干渉が行われ、党が分裂するという事態が起こったことにありました。

 日本共産党は、この危機を乗り越える過程で、自主独立の路線――自らの国の社会進歩の運動の進路は、自らの頭で考える、どんな大国でも干渉や覇権は許さないという路線を確立しました。これは党の分裂という最悪の危機から教訓を引き出して、わが党の先輩たちがなしとげた巨大な自己改革であり、自主独立の路線の確立なしに、今日の日本共産党は存在しえなかったといっても過言ではありません。

 1960年代には、旧ソ連と中国・毛沢東派の双方から無法な覇権主義の干渉が行われましたが、日本共産党は、そのどちらもきっぱりとはねのけ、旧ソ連・中国の双方に干渉の誤りを認めさせました。世界のなかで、二つの大国の党にその誤りを認めさせた党は、日本共産党以外には存在しません。

 わが党は、旧ソ連によるチェコスロバキア侵略やアフガニスタン侵略など覇権主義に、「社会主義とは無縁」と厳しい批判をつらぬきました。1991年にソ連共産党が解体したさいに、「もろ手をあげて歓迎する」との声明を発表しましたが、こうした声明を発表した党も、世界に日本共産党一党といっても過言ではありません。

 どんな国であれ覇権主義を許さないというわが党の立場は、今日、ロシア・プーチン政権がウクライナ侵略という野蛮な覇権をふるっているもとで、また、中国の覇権主義がさまざまな面で深刻になっているもとで、いよいよ重要になっています。

 覇権主義をきっぱり拒否する立場は、何よりも対米関係においてきわめて重要です。日本の政治は、在日米軍に異常な特権を保障している日米地位協定に象徴されているように、世界のなかでも異常な「アメリカ言いなり」できわだっています。「日米同盟の強化」の名で、憲法9条改定、自衛隊の海外派兵の動きが進められるもとで、従属の根源――日米安保条約を国民多数の合意で解消し、対等・平等・友好の日米関係をつくることを日本改革の中心課題にすえている日本共産党の立場は、いよいよ重要となっています。

 わが党は、覇権主義とのたたかいの経験を踏まえて、2020年の綱領一部改定で、「どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず、平和の国際秩序を築」くことを明記しました。わが党は、この立場にたって、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をつくるために全力をあげる決意を新たにするものです。

国民の共同の力で社会変革を進める――この大方針を堅持して奮闘する

 第三は、国民の共同の力で社会変革を進めるという立場です。

 1960年の日米安保条約改定に反対する国民的大闘争をへて、1961年に採択された党綱領は、選挙による国民多数の合意で社会変革を進めること、社会の発展のすべての段階で、国民の共同の力(統一戦線)で社会変革を進めることを大方針にすえました。

 この方針にもとづく奮闘で、1960年代~70年代には、東京、大阪、京都など、全国各地に革新自治体が広がり、一時期は、日本の総人口の43%が革新自治体のもとで暮らすまでになりました。

 この流れを断ち切ったのが、1980年に、社会党と公明党の間でかわされた日本共産党排除の「社公合意」でした。日本共産党を政界から排除し、その存在をないものかのように扱う「反共の壁」がつくられました。

 こうした困難な状況のもとでも、わが党は、「日本共産党と無党派の方々との共同」という方針を提唱し、日本の社会進歩を求める団体、個人とともに革新懇運動にとりくみ、国民の共同の力で日本の政治を変えるたたかいに、粘り強くとりくみました。

 日本共産党排除の「反共の壁」がつくられた時期は、国民の暮らし、平和、民主主義が大きな被害を受けた時期ともなりました。経済政策では、弱肉強食の新自由主義が、労働、社会保障、税制などあらゆる分野に持ち込まれ、日本を「賃金が上がらない国」「経済成長ができない国」にするという矛盾が深刻になりました。外交・安保政策では、自衛隊の海外派兵が進められ、2015年に強行された安保法制では、歴代政府が戦後一貫して「違憲」としてきた集団的自衛権の行使を可能にするなど、立憲主義・平和主義・民主主義の乱暴な破壊が行われました。

 こうしたもと、2015年以来、市民と野党の共闘という新しい運動が開始されました。「反共の壁」が大きく崩され、この間の何度かの国政選挙では、初めての全国規模での野党共闘も行われ、重要な成果をあげました。

 政権交代に正面から挑戦した昨年の総選挙以降、市民と野党の共闘は、その前進を恐れる支配勢力の激しい攻撃、妨害に遭遇しました。今回の参院選では、共闘は限定的なものにとどまりました。

 そのなかでも、沖縄選挙区をはじめ貴重な勝利をかちとり、共闘の灯を守ったことは重要です。東京選挙区で、若いみなさんをはじめとする自主的・自発的な市民的共同の力が発揮され、勝利をかちとったことは、たいへんにうれしい出来事でした。

 日本の政治を変える道は、共闘しかありません。日本共産党は、これまでの7年間の共闘のとりくみをふまえ、この流れをどう発展させるかについて、市民と野党が胸襟を開いて話しあい、この運動の前途を開くことを心からよびかけます。

 わが党は、どんな困難があっても、それを乗り越えて、国民の共同の力で社会変革を進めるという党綱領の大方針を堅持して奮闘する決意です。

社会主義・共産主義という大目標――資本主義体制の矛盾の深まりのもとでの重要性

 第四は、日本共産党が、社会変革の大目標として、社会主義・共産主義の実現を掲げ続けてきたということです。

 日本共産党は、戦前、戦後を通じて、社会変革の条件に違いはありますが、資本主義の枠内で「国民が主人公」の日本をつくる民主主義革命を直面する課題としつつ、人類の歴史を資本主義で終わりとする立場にたたず、資本主義を乗り越えて社会主義・共産主義社会を目指すことを、党の大目標として一貫して掲げ続けてきました。

 この立場は、21世紀の今日、地球的規模での資本主義体制の深刻な矛盾が、一刻の猶予も許されない気候危機の深刻化、貧富の格差の劇的な拡大など、誰の目にも明らかとなり、「この体制を続けていいのか」という問いかけが広く行われているもとで、いよいよ重要となっていると考えるものです。

 旧ソ連の崩壊、中国の覇権主義や人権侵害などをとらえた「社会主義否定論」は根強いものがありますが、これらの問題が起こった根底には、社会主義と無縁の暴政を行った指導者の誤りとともに、経済的発展でも、自由と民主主義という点でも、「遅れた国からの革命」という出発点の問題がありました。旧ソ連や中国の問題をもって、社会主義の未来を否定的に描くことは、成り立ちえない議論だと考えます。

 高度に発達した資本主義国・日本で、社会変革の道に踏み出した場合には、このような誤りは決して起こりえないし、絶対に起こさないというのが、日本共産党の確固たる立場です。資本主義のもとでつくりだされた自由、民主主義、人権の諸制度を引き継ぎ、発展させ、花開かせる――これがわが党が綱領で固く約束していることです。

 人類の歴史のなかで、発達した資本主義国から社会主義の道に踏み出した経験はまだ存在していません。それは特別の困難性をもつとともに、豊かで壮大な可能性をもった、新しい開拓と探究の事業です。

 日本共産党は、2020年の綱領一部改定で、ロシア革命以来の1世紀の世界の運動の歴史的総括を踏まえて、次の命題を書き込みました。

 「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」

 この立場にたって、わが党は、21世紀を、搾取も抑圧もない共同社会への建設に向かう人類史的な前進の世紀とすることをめざして、力をつくします。

 日本共産党という党名は、わが党のこの大目標と固く結びついた名前です。この名前を高く掲げて、新たな躍進をかちとるべく奮闘する決意です。


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