2022年7月14日(木)
きょうの潮流
発効した核兵器禁止条約を力に、被爆者と核実験被害者の共同が進んでいます。日本原水爆被害者団体協議会は総会で、ビキニ被ばく船員訴訟を支援すると決めました▼米国の核実験(1954年)で約1000隻の漁船が被害に遭うビキニ事件が起きました。同訴訟は、船員4人ら原告が船員保険による労災の適用を求めるもので、今月26日に東京地裁で第1回口頭弁論が開かれます。被団協代表委員の田中熙巳さんは「被爆者が傍聴席を埋めるのが具体的支援だ」と▼日米両政府は人的には第五福竜丸船員の被害に限る「政治決着」で、事件を封印させました。政治決着によって米国に損害賠償を求める権利を奪われたことにたいし、船員は国に損失補償を求める訴訟も高知地裁に起こしています▼原告の、第11冨佐丸元乗組員で92歳の横山幸吉さんは告発します。「仲間が何人も白血病やがんで亡くなった。40代、50代で若くどうして死んだのか。私は水爆実験のせいだと思う」と▼横山さんは中学卒業後動員された長崎の三菱兵器工場で作業中に被爆しました。「一面火の海。川は死んだ人でいっぱいだった。水だけで、飢える寸前で逃げ帰った」。戦争と原爆の非道さや核実験・放射能の怖さを知る二重被ばく者です▼禁止条約第1回締約国会議では、核実験の非人道性と核保有大国の責任を訴える熱い議論がありました。この世界の流れに連帯し、被爆者と核実験被害者に心を寄せ、日本の条約参加を求める草の根運動を新たに広げる時です。








