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2022年7月11日(月)

きょうの潮流

 「女性を贔屓(ひいき)してほしいと言っているのではない。兄弟たちに求めることはただ一つ。私たちの首根っこを踏みつける足をどかしてほしいと」―米国の最高裁判事だったルース・ベイダー・ギンズバーグ氏の言葉です▼RBGとの愛称で親しまれ、その言葉は有名です。米法曹界で道を切り開いてきたジェンダー平等の先駆者。判事在任中に亡くなり、トランプ大統領(当時)が新判事を任命したため、米最高裁の保守化は決定的に▼1973年の最高裁の「ロー対ウェイド判決」は、中絶を女性の権利と認めた金字塔でした。国家や宗教が女性の体を管理するのではなく、「私が決める」を可能にし、女性解放を進める力となりました。中絶合法化の世界の流れに大きく寄与したものです▼この判例を新しい最高裁が覆しました。宗教右派の執念が実った形です。州レベルで中絶禁止の法制化を着々と進め、ついには大統領が任命する最高裁にも保守派を送り込みました。同判事の中には、避妊や同性婚を認めた判例の再判断を主張する声も▼たたかいとってきた権利が大きく後退する危機に、米国だけでなく、世界各地で人々が声を上げています。逆流は自国でも無関係ではないとの思いが伝わってきます▼ギンズバーグ氏がかつて法律顧問を務めた人権団体「全米市民自由連合」(ACLU)は「権利のために、法廷や議会、街頭そして選挙でたたかおう」と早速、行動を呼びかけています。自分の体に決定権を持つのは私たち一人ひとりなのだと。


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