2022年7月10日(日)
きょうの潮流
国内外に衝撃をひろげている安倍元首相への銃撃事件。長く政権を担った人物が卑劣な蛮行に倒れたことに、世界の首脳からも哀悼の意が寄せられています▼英国のジョンソン首相もそのひとり。安倍氏を惜しみつつ日本国民にも思いを寄せ、「英国はこの暗く悲しいときにあなた方とともにあります」とツイッターで発信しました▼ところが、当の本人は辞任を表明するまで追い込まれています。首相の座にしがみついてきましたが、不祥事にその場しのぎのうそを重ねてきたことで閣僚や高官が次つぎと離反。背景には国民の強い怒りがあり、与党の保守党は直近の選挙で惨敗。党内に「ジョンソン氏では党が持たない」という焦りが充満していたといいます▼いま日本ではテレビをはじめ安倍氏の功績をたたえるもので染められています。暴力を許さないとの声も当然でしょう。しかし忘れてならないのは、安倍政権がやってきたことです。数々の疑惑のたびに虚偽の答弁をくり返し言論の府をおとしめる。強権をふるって戦前回帰の法を押し通す▼特定の民族への憎悪をあおり、国民の間に深い分断をもたらしたのも安倍政治の罪です。非業の死を理由にして、社会に不寛容をもちこんだ政治を美化させるわけにはいきません。その路線を継承するのか、転換するのか、この参院選で問われています▼きょう投票日。平和やくらしを守るため、暴力ではなく投票によってみずからの意思を示す。私たちには、政治を変える1票の力があります。








