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2022年7月9日(土)

きょうの潮流

 まさか、こんなことが起こるとは。選挙最終盤の白昼、衆目の中での凶行に列島がふるえました▼奈良で演説していた安倍晋三元首相が撃たれ亡くなりました。容疑者は奈良市内に住む41歳の男。背後から近づいて、手製とみられる銃のようなものから発砲。現場では、2回銃声が聞こえたといいます。男は「安倍元首相にたいして不満があり、殺そうと思って狙った」と供述しているそうです▼どんな理由や背景があろうとも許されない蛮行。まして民主主義の根幹である選挙のさなかに、政治活動や言論の自由を暴力で封殺する卑劣なテロなどあってはならないことです▼政治家への暴虐は過去にもありました。選挙中の例では2007年の長崎市長選、4選をめざしていた伊藤一長市長が選挙事務所前で暴力団幹部に銃で撃たれ、翌日に死亡。演説中でいえば1960年、日比谷公会堂での公開討論会の壇上で浅沼稲次郎・社会党委員長が右翼の少年に刺殺されました▼戦前、相次いだ政治テロを契機に戦争の泥沼へと突き進んでいった痛恨の歴史も思い起こさせます。安倍元首相を撃った男は2005年ごろまでの3年間、海上自衛隊で勤務していたという情報もあります▼ネット上では根拠のないデマや、特定の属性を攻撃するヘイト発言がとびかっています。憎しみは憎しみを、暴力は暴力の連鎖をうみます。いまやるべきは憎悪や分断をあおることではありません。こうした暴力に屈せず、民主主義を守るために力をあわせるときです。


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