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2022年7月8日(金)

主張

日本の食料

本気で増産する農政に転換を

 食料危機が世界で深刻化しています。価格が急騰し、思うように輸入できない事態も生まれています。日本の食料自給率は史上最低の37%です。6割以上を輸入に依存していては、国民の命を守れません。岸田文雄政権はこんなときにも米価の大暴落を放置し、新たな農業つぶしを進めています。海外依存を脱して農家経営の窮状を打開し、食料の本格的増産、自給率向上に踏み切ることは国政の差し迫った課題です。

水田交付金の削減やめよ

 生鮮食品は2月から4カ月連続で前年比10%を超える値上がりです。タマネギや食用油など日常欠かせないものが特に急騰し、生活は厳しくなる一方です。

 民間信用調査会社、帝国データバンクによると、7月以降さらに多くの食品が値上げされます。国際市場での原油、小麦、油脂の値上がりに加え、円安による輸入コストの上昇が今以上に価格を押し上げるとの見通しです。

 日本農業新聞が6月に行った調査では、生産資材の高騰が経営に影響があると答えた農業者は85%に上りました。価格転嫁もままならず、「このままでは生産基盤が崩壊する」という切実な声が上がっています。

 最大の責任は歴代自民党政権の農政にあります。安い食料を外国から買えばいいとして米国や財界いいなりに農産物自由化を受け入れ、価格保障・所得補償をはじめ農業保護を縮小してきました。

 岸田政権はロシアのウクライナ侵略で食料危機が起きると「食料自給率の向上」を言い始めましたが、本気で増産に転換する姿勢はありません。それどころか自給率が低く、今値上がりしている麦、大豆の生産に欠かせない水田活用交付金まで削ろうとしています。

 水田活用交付金は、水田の作付けを主食用米から他の作物に転作した場合に補助金を出す制度です。政府は畑作転換の場合、今後5年以内に一度、水稲に戻さなければ補助対象から外すなどの方針を打ち出しました。制度を使って麦、大豆などを連作している農家は支援を受けられなくなります。減反政策に協力してきた農家への裏切りです。食料危機のさなかに国産を減らす政権に「自給率の向上」を言う資格はありません。

 日本共産党国会議員団は6月、▽水田活用交付金の削減中止と拡充。実質的に畑地化している場合は生産を維持できる他の支援策を行う▽肥料、飼料、燃油高騰分の直接補填(ほてん)▽牛豚の価格補填は国の全額負担で実質的な生産費をすべて賄うものにする―などの緊急対策を政府に申し入れました。

自給率50%回復を早期に

 国土資源を生かして食料自給率を早期に50%に回復し、さらに60%台をめざすことを国政の柱に据えなければなりません。

 価格保障・所得補償を抜本的に充実させ、営農の土台を整えることが急務です。支援は大規模化一辺倒でなく、中小経営も対象にすべきです。不要なミニマムアクセス米の輸入は削減・廃止する必要があります。輸入野放しをやめ、各国の食料主権を尊重する貿易ルールを確立することが重要です。

 日本共産党は綱領で「農業を基幹的な生産部門として位置づける」と掲げています。この党を参院選で大きくすることが食と農業の未来を切り開く力となります。


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