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2022年7月6日(水)

維新・松井代表 止まらぬ暴論

 10日投票の参院選で、日本維新の会の松井一郎代表が「自民党をピリッとさせる」などと述べ、憲法改定と大軍拡、労働法制の規制緩和、原発の再稼働の加速などを自民党に迫る発言を繰り返しています。

「原潜は大きな防衛力」

 松井氏は3日のNHK「日曜討論」で、軍事費の2倍以上への増額は「自民党のマニフェストにも書いてある」と実現を要求。さらに「原子力潜水艦は非常に大きな防衛力強化になる」として与党ですら慎重な原潜の保有まで主張しました。

 原潜は地球の裏側まで潜航が可能で、米英中ロなどでは核戦略の柱にすえられています。松井氏は2月にも、「核共有」に関し「議論は当然だ」として「米国の原子力潜水艦をリースしてもらうとか、そういう議論をすべきだ」と述べていました。

 日本が原潜を保有すれば「原子力の平和利用」を基本理念とした原子力基本法に反します。さらに「専守防衛」や「非核三原則」といったこれまでの国の基本方針に反し、1隻数千億円~1兆円を超えるともいわれる建造費などで「異次元の大軍拡」をもたらすことにもつながりかねません。

 「核共有」の議論を求めてきた維新ならではの提案です。しかもその財源は示されていません。

 「日曜討論」で松井氏は「防衛予算は30年間増額されてない」というフェイク(うそ)まで持ち出しました。実際には、第2次安倍晋三政権発足後の2013年度以降だけをみても10年連続で前年度を上回り、8年連続で過去最大を更新しています。国民の暮らしがどんなに犠牲になろうとも、その軍事費を自民党と一緒になってさらに倍増させようというのが維新なのです。

「改憲スケジュールを」

 大軍拡と一体の9条などの憲法改定についても松井氏は同討論で「岸田総理には発議までのスケジュールをしっかりと(示してほしい)。それがない議論をしても先延ばしになる」と迫りました。

 「われわれが『自民党をピリッとさせる』というのは自民党に公約を守らせることだ」(6月9日、松井氏)という維新に投票しても自民党政治は変わりません。結局、悪政を進める自民党に“おじけづくな”とけしかけ、この国の根幹を破壊しようとしているだけなのです。

「格差は受け入れよ」

 日本経済をめぐって、松井氏は3日の討論で「日本は資本主義。格差は受け入れるべきだ」と発言。「賃上げの具体策」を問われているのに「規制緩和」を主張しました。維新は政策で「解雇紛争の金銭解決を可能にするなど労働契約の終了に関する規制改革を行い、労働市場の流動化・活性化を促進する」として、使用者側が金さえ払えば解雇できる首切りの自由化を求めています。

 そもそも労働法制の規制緩和は、非正規雇用の拡大など雇用の劣化と格差を広げた原因です。ところが維新は「解雇規制が給料が上がらない最大の原因」(党ホームページ)などと主張し、労働法制のいっそうの規制緩和による「雇用の流動化」を求めています。

 その代わりとして導入検討を掲げている一律給付の「ベーシックインカム」も社会保障の解体と一体になった政策です。

「原発再稼働決断せよ」

 原発問題では松井氏は、ウクライナ危機に乗じて再稼働をいっそう推進する岸田文雄首相に、それでも遅いとばかりに「再稼働の決断を」と迫っています。しかし、3日の討論で日本共産党の志位和夫委員長が「福島を忘れたのか」と述べたように、福島では、いまも汚染水が増え続け、多くの人々が避難生活を強いられています。事故などなかったかのように再稼働を唱えるのは無責任です。

 松井氏の「軍事には軍事を」との発想や「規制緩和万能」論、原発「安全神話」こそ、古い自民党型政治の「昭和の価値観」(松井氏)そのものです。

 松井氏はまず、維新府政の大阪での全国最多の新型コロナ死者数、カジノ計画への公約違反の公金投入について説明責任を果たすべきです。(藤原直)


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