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2022年7月5日(火)

参院選 学費無償化 願い切実

共産党勝利で実現を

 世界的にも異常に高い日本の学費に「とても払えない」と学生や保護者から悲痛な声があがっています。参院選でも重大な争点に。日本共産党は学費の無償化を掲げます。(染矢ゆう子)


グラフ
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 東京大学2年の山口孝志さん(19、仮名)は日本学生支援機構(旧日本育英会)の月額12万円の有利子奨学金を借りています。年53万5800円の学費と生活費をまかなっています。

 山口さんは同機構の無利子奨学金を利用できませんでした。同機構が2020年度から収入要件を厳しくしたためです。しかし、姉は専門学校に通っており、病気の家族もいるため、実家には頼れません。4年間で576万円を借りることになります。

無利子少なく

 上限利率(3%)だと利子だけで200万円になります。「学費が高いのに無利子奨学金の枠は少ない。大卒でないと就職できない会社も多く、社会が大学での学びを必要としているのに、若者に負担を押しつけるのはおかしいです」

 3年生になると暮らす寮が変わり、寮費が4倍に上がるため、安売りのスーパーで鶏肉やもやしを買って今から食費を節約。アルバイト代も貯金。「大学院に進学するか悩んでいます。父親は“退職金を使えばいい”というけれど、両親の老後の資金がなくなってしまう」(山口さん)

 東京都内に住む看護師(55)の長女は私立大学の2年生。保育学部に通います。学費は年100万円。夫は年金生活。長女の学費を払えたのは1年生まででした。

 貯金がなくなり、長女は2年生からは機構の有利子奨学金月5万円を借りて、学費の6割を払っています。残り4割はアルバイト代で払います。「もうお金がないです。次女も来年3月には高校受験で次々とお金がかかる。税金は軍事費ではなく、子どものために使ってほしい」

 長女が私立大学の音楽科に通うという女性。学費は半期で90万円、4年間で720万円です。同機構の給付奨学金の対象は年収270万円程度(一部給付は380万円程度まで)と狭く、貸与奨学金は「返せるか心配」と借りずに、貯金をとりくずします。

 同じく芸術系の大学をめざす高3の次女は「経済格差が教育格差につながるのはどうかと思う」と話します。

 被害者救済に取り組むAV出演者対策委員会のメンバーの女性。学費や生活費のためにAV出演や性売買をする学生に多く出会ったと話します。

 「稼げるバイトはない。福祉の窓口は遠く煩雑です。性売買の入り口はスマホなどで簡単にアクセスできる。学費を下げ、給付奨学金を拡充することが学生の尊厳を守ります」

「受益者負担」

 「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」事務局長の岡村稔さんは、学費・奨学金の大きな問題は「受益者負担」と「家族主義」だといいます。

 憲法では、「教育を受ける権利」がうたわれています。ところが、1971年の中央教育審議会答申から政府は大学の学費を「受益者負担」だとして、“自己責任”“家族責任”を持ち込みました。以来、学費は国立は45倍、私立は10倍に上昇。同時期、政府系を含む金融機関で学資保険や教育ローンが誕生しました。「政府は貸与奨学金の前提となっていた『安定雇用』を壊しながら、親が担えなくなった負担を学生に背負わせています」

 1976年には、高等教育まですべての段階の無償教育と教育の充実を定めた国際人権規約が発効しました。日本は79年に批准しましたが、中等・高等教育の無償化条項を留保しました。

 民主党政権下の2012年、日本共産党の宮本岳志衆院議員が「無償で教育を受ける権利を保障するのが世界の常識だ」と留保解除を求め、政府は留保撤回を表明。同年、160カ国中159番目に留保を撤回しますが、自公政権は高等教育の無償化を実現する計画も立てず、そのための会議も一度も行っていません。

 他方、1990年に国際人権規約を批准した韓国は、大学学費の半額化を進め、国公立大学の入学金を廃止。給付制奨学金を充実させ、学生の半数が利用しています。

 日本共産党は教育費の無償化をめざします。参院選政策では、まず大学・専門学校の学費を半額に引き下げ、入学金制度を廃止します。さらに給付奨学金を75万人(現在の奨学金利用者の半数)まで拡充し、すべての奨学金を無利子にします。返済の負担を軽減しながら、20年間返済すれば残額をすべて免除します。新型コロナの影響で、休学や卒業を延期した学生の学費補助などの支援を強化します。財源は大企業・富裕層の優遇税制や行き過ぎた減税などを見直し、確保します。

自治会で値上げ止めた山添候補

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(写真)山添拓候補

 日本共産党の山添拓参院東京選挙区候補は、2004年の東京大学の学生時代に学生自治会で学費値上げに反対する決議をあげました。大学と交渉した際、大学側は「学費を値上げしない」と言明しました。

 その後、国立大学協会も値上げは容認できない、と国に要望。2005年の値上げを最後に、国立大学の授業料標準額の値上げはストップし、東大は授業料減免枠を拡充。独自の減免制度につながりました。

 1979年以降、日本共産党国会議員団が求め続けた国際人権規約の留保撤回が、私立高校無償化の拡充や学生の給付奨学金創設・拡充につながっています。


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