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2022年7月4日(月)

主張

性暴力被害の根絶

「痴漢ゼロ」への流れをさらに

 子どもや若者にとって最も身近な性暴力は痴漢です。その被害は本人がなかなか訴えることができず、人生の深い傷となります。

 日本共産党は昨年の東京都議選と総選挙で「痴漢ゼロ」の政策を掲げ、国会や地方議会での論戦、行政機関への対策申し入れなどに力を入れています。この取り組みは、若い世代を中心にした世論と運動とも結んで、政治を動かしています。参院選は、その流れを促進させる重要な機会です。

政府が初めての実態調査

 内閣府は6月17日、痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査の結果を発表しました。インターネットで16~24歳を対象に行い、回答を寄せた6224人のうち1644人(26・4%)が、「言葉による性暴力」「性交を伴う性暴力」など何らかの性暴力(「望まない性的な言動」と定義)により被害を受けたことがあると答えました。

 国として初めてとなる大規模な調査です。昨年10月、日本共産党の小池晃書記局長は参院本会議で「電車に乗る。道を歩く。そんな当たり前の日常が性暴力の危険にさらされていることを、政治が無視し、軽んじていいのか」と質問し、痴漢などの実態調査を国の責任で行うことを求めていました。

 政府の調査結果は、深刻さを改めて浮き彫りにしています。痴漢など「身体接触を伴う性暴力」の被害に遭った場所は、公共交通機関との答えが最多で、路上、学校などが続きました。被害者は女性が多く、中学生、高校生で初めて被害に遭った人も多数でした。加害者は異性が多く、「まったく知らない人」が5割超の一方、学校関係者も24・5%に上りました。

 警察に相談した被害者は9%にとどまり、家族や友人も含め「どこ(だれ)にも相談しなかった」人が36・6%もいました。その理由(複数回答)は、「恥ずかしくてだれにも言えなかった」(38・9%)、「相談してもむだだと思った」(36・5%)、「相談するほどのことではないと思った」(32・7%)などです。被害後の生活の変化では「異性と会うのが怖くなった」(22・7%)、「外出するのが怖くなった」(17・2%)、「感覚がよみがえる」(16・7%)の回答も少なくなく、性暴力が心身に負わせる傷の深さを示しました。

 内閣府は6月、「女性版骨太の方針2022」を決定し、「痴漢撲滅パッケージ(仮称)」の今年度中の策定を打ち出しました。痴漢の取り締まり強化に加え、防犯アプリの開発や広報・啓発の充実などを進めるとしています。「痴漢ゼロ」を国が政策課題に掲げたことは重要な前進ですが、痴漢などの性暴力の土台には、ジェンダー不平等の社会の構造があります。ジェンダー平等を目指し、社会のあり方を根本からつくりかえる本気の取り組みが必要です。

切実な声受け止める議席

 実態調査の意見欄には「書いている今も緊張し震えているが、性被害にあった女性の支援に少しでもつながるなら」とありました。性被害は思い出すのもつらく、声を出すこと自体、大きなエネルギーが必要です。それでも声を上げる人がいて、その思いを受け止める議席があったことが、「痴漢ゼロ」をはじめ性暴力根絶を政治の焦点課題に押し上げました。参院選で、ジェンダー平等を訴える日本共産党の躍進が欠かせません。


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