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2022年7月3日(日)

主張

エネルギーの転換

省エネ・再エネ推進する政治を

 参院選ではエネルギーのあり方が大きな争点のひとつです。

 東京電力管内で6月末の4日間、「電力需給逼迫(ひっぱく)注意報」が出され節電が呼びかけられました。気候変動の影響とも指摘される想定より早い猛暑の到来で、電力需要が急増すると見られたためです。こうした事態の背景には自民党政権が原発と石炭火力発電に依存し、省エネルギーを本格的に進めず、日本にも豊富にある再生可能エネルギーの大量普及を怠ってきたことがあります。

潜在する力を生かすとき

 日本のエネルギー自給率はわずか1割程度という異常な低さです。ロシアのウクライナ侵略などによる海外の化石燃料市場の混乱に振り回されているところに異例の早さで梅雨が明け、厳しい暑さが襲いました。

 電力需給の厳しい局面では、節電や大口需要者の需要調整、蓄電システムの活用などでの対応は当然です。建物の断熱化や電力利用の効率化などの大幅な省エネも欠かせません。

 同時に再エネ優先利用の原則を確立し、再エネを最大限に使える電力網整備などを急ぐべきです。

 岸田文雄首相らが主張する原発の「最大限活用」は安全を置き去りにして再稼働を推進することです。11年前の東京電力福島第1原発事故への反省を忘れた危険な逆行は許されません。

 100%国産でまかなえる再エネの大量普及は日本のエネルギー自給率を向上させる最大の力です。その条件は十分あります。

 2020年度の日本の発電電力量は約1兆キロワット時です。これに対して環境省の再エネ導入ポテンシャル調査では、再エネの潜在能力は約7兆5000億キロワット時と推計しています。現在の電力使用量の7倍以上です。

 この力が生かされないのは、石炭火力発電と原発に固執する政府が、再エネ普及を後景に追いやってきたからです。21年に閣議決定したエネルギー基本計画では30年度の再エネ電源比率は36~38%にすぎません。この比率は、ドイツ(43%)、イギリス(39%)などでは達成済みで、これらの国は30年に向けて6~7割をめざしています。日本の立ち遅れはただちに克服しなくてはなりません。

 脱炭素の取り組みが遅れるほど、日本企業の競争力も失われます。日本自動車工業会は「ライフサイクル(製造・消費工程)全体でのカーボンフリー(脱炭素)が求められる世界の流れの中、再エネ普及が遅れ、製造時CO2(二酸化炭素)の問題で日本生産の車が輸出できなくなった場合」には、年間約500万台の輸出がなくなり、雇用に100万人、経済に26兆円のマイナスになると試算しました。影響ははかりしれません。

雇用を増やし経済成長へ

 研究者らでつくる「未来のためのエネルギー転換研究グループ」によれば30年までにエネルギー需要を約40%削減する省エネと、再エネで電力の44%をまかなうエネルギー転換により、雇用254万人創出、国内総生産(GDP)205兆円増が可能としています。

 省エネ・再エネの推進は、気候危機打開にとって文字通り緊急の課題です。同時に経済を成長させる道です。参院選は、脱炭素の取り組みを加速する政治実現の大きなチャンスです。


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